山の会すかんぽの8月例会は「鹿島槍ヶ岳」。長いアプローチの果てにある双耳峰に憧れる人が多いが、すかんぽ人も例外ではない。「一度行ってみっぺ」という興味津々人間が山頂を目指す。ただし、ゆっくり!
日時:2016年8月26日(金)~28日(日) 
コース:扇沢~爺ヶ岳~鹿島槍ヶ岳(往復)
参加者:おおとも、ハチケン、Alex、よね、ひら
今回の山行記は、参加者全員の「手記」をそれぞれ公開します。

おおともの手記


「北アルプス鹿島槍ケ岳ゆっくり山行」に参加して 

 鹿島槍ケ岳はぜひとも登りたい憧れの山だった。というのは、長い登山歴を持つ知人から「これまでに登った山で一番よかった」と聞いたから。願いは叶い、すかんぽの8月例会に参加させていただくことに。「ついていけるかしら」の不安を「でも、“ゆっくり山行”とうたっているから」と打ち消し、いざ出発。

 1日目。天気は曇り。扇沢バスターミナルから柏原新道を登る。最初から急坂が続き、息が切れる。樹林におおわれた道だが、風がなく暑い。タオルのハンカチがすぐに汗でぐっしょりになった。アザミが群生するアザミ沢を過ぎ、急な石段をハーハー言いながらやっとの思いで登り切ると、予定より30分早く、赤い屋根の種池山荘に着いた。テラスで、生ビールで乾杯。しかし、標高2500ⅿもある山小屋のテラスは寒くて、体が冷えてきたので、飲みかけのビールをもって小屋の中の談話室に場所を移した。

 2日目。前夜から降り出した雨が、明け方にはさらに強くなった。小雨になってきたので、予定通り6時半に出発したが、景色は何も見えない。爺ケ岳の山頂制覇は翌日に延ばして、冷池山荘へ。荷物を置かせてもらい、水とお弁当とカメラだけを持って鹿島槍ヶ岳を目指す。9時頃には雨が止むとの予報に反し、雨は一向にやまない。布引岳を経て、鹿島槍ヶ岳南峰へ。雨はますます強くなり、写真だけ撮ってすぐに下山した。冷池山荘へ戻る途中、ハイマツの中にライチョウがいた。それも8羽も。雨の中、頑張って登ったご褒美かな。山荘に戻って、またもや生ビールで乾杯。リーダー差し入れのワインを飲み終わった時、Alexさん登場。お酒を買い足して、さらに宴会は盛り上がった。

 3日目。雨の予報に反し、朝起きたら雨はやんでいた。小屋の前の展望台に上ると、雲海の上に赤く輝く太陽が昇っていく。左手には、前日登った鹿島槍ヶ岳が端正な双耳峰を見せていた。お天気がいいとこんなにも気分がいいのかしらと心うきうきで、朝5時半に出発。昨日は全く見えなかった景色がきれいに見える。特に爺ケ岳中峰からの眺望は素晴らしく、目の前に剣岳をはじめとする立山連峰がくっきり。槍ヶ岳も穂高岳も見えて、しばしうっとり。これだから、どんなにつらくても、また、山に登りたくなるんだよね。

 ゆっくりコースを作ってくれて、宿の手配やら帰りの指定券の手配等してくださったリーダーのひらさん、ありがとうございました。ずっとトップを歩いてくれたよねさん、いざという時のため熊除けスプレーをもってきてくれたハチケンさん、不屈の精神で一人登ってきたALEXさん、ありがとう。一緒に歩け&一緒に飲めて幸せでした。

ハチケンの手記

やはり最終日の爺ヶ岳からの展望がトップと思います。鹿島槍は勿論、立山、剣、遠く槍ヶ岳や常念まで
のパノラマは圧巻でしたね。

3日目の朝は雨か曇りを覚悟していましたので起きて窓から月と星と朝焼けが見えた時は本当に嬉しかったです。

この幸運はきっと「TOPで引っ張ってくれたよねさん」と「豪雨の中を駆けつけてくれたALEXさん」への神さん、仏さんからのご褒美ではないでしょうか?

2日目の朝に「悪天候につき撤退」を言い出さなくてよかったと思いました。小雨だったのでよかったです。土砂降りだったら下りていたかも・・。早目に下りていたら篠田さんとは合流できなかったことになりますので・・。


その他 
・よねさんのザックはお宝が入っているのか見かけより結構重かったです。
・おおともさんを見習ってもう少し花の名前を勉強しましょう。
・山荘は広くて、ご飯も美味しかったのですべてお代わりして完食しました。
・ひらさん持参下さったワインをご馳走になりました。重いのにご苦労様でした。
・タクシー運転手さんにはお店紹介でお世話になりました。
・幸運にもクマ除けスプレーの出番はありませんでした。
・下山会のお酒、お料理とも美味でした。

皆様、お世話になりました。
また、よろしくお願いします。


よねの手記


 皆様 お疲れ様でした。
 鹿島槍ヶ岳にご一緒出来て楽しかったです。お世話になりました。

 今回はゆっくり登山ということでリーダーに計画して頂き、楽勝!!と思っていたのに、柏原新道で早々に皆さんにご迷惑をお掛けしてしまい、本当に日頃の運動不足をあらためて痛感。種池山荘には17時までに着けばいいからと優しい言葉になんとか山荘まで辿り着きました。

 その夜の雨音で、明日は雨か~と心がまた折れたけれど思った程ひどい雨ではなく、冷池山荘で荷物をデポして、身軽になって鹿島槍ヶ岳に。途中私達を出迎えてくれた立派な雷鳥、身じろぎもせずモデル立ちしていましたね、カッコいい!目標の鹿島槍ヶ岳の姿はうっすら見える程度、ただ黙々と布引山、鹿島槍ヶ岳と登り、山頂(南峰)では、北峰に行くかどうか・・・雨も強いし景色も見えないという事で悩まず写真だけ撮って引き返しました。山荘に向かう途中、今度は8羽の雷鳥集団皆さん同じ方向みてこちらを見てくれない・・・、暫く歩くと今度は猿の一団を横目で見つつ、足早に冷池山荘に戻り宴会。リーダー差入れのワインを堪能し終わった頃、ALEXさん登場!!雨の中、山頂で私達に会えることを信じ登ってきたとか、どこかですれ違っていたようで気づかずごめんなさい。最終日も天気はあまりよくないとの話で今回景色は無理だねと眠りに着き、翌朝びっくり!!

 想像していなかった好天にご来光、もう感動です。山荘前の展望台で雲海の果てにお日様の輝き、あと少し、というところで私のお腹がグルグル、感動的な場面は見逃してしまいました・・・残念。
 でも、昨日見られなかった鹿島槍ヶ岳の双耳峰と布引岳が朝日を浴びてすっくと立ち素敵でした。あの頂きに登ったんだ~すごい。
 爺ヶ岳山頂に向かう途中々の景色は昨日までとはうって変わってどこを見てもすっきりくっきり、ガスが上がって尾根を越えて流れる景色や、途中でブロッケン現象まで、爺ヶ岳山頂での景色は本当に圧巻でした。ぐるり360度、槍の穂先に立山連峰etc.来て良かった感謝感激。初日の反省もあり本当に皆さんには申し訳ないけれどゆっくり歩かせいただきました。

 今更ながら、遠く見えていた山頂も一歩一歩と足を前に出せばいつの間にか着いて、ご褒美に素敵な景色を見せてくれる。登っているときは何でまた山にきちゃったのかな?自分には無理~と心が折れていたのに、また頑張ろうかな?なんて事を考えてしまいます。

 最後に、私のザックにはお宝は入っていません、非常食が多かった?
 荷物を補佐して頂きありがとうございました。



ALEXの手記


 すかんぽに入会後はや1年だがいまだに本格山行には縁がなかった。今回初めての本格山行として鹿島槍ヶ岳登頂に挑戦する機会を得ることができた。まずはこの機会を与えてくれたすかんぽ、リーダーのひら氏、そしてともに頂上を目指したメンバーのはちけんさん、よねさん、おおともさんにただただ感謝。

 山に登ることの目的。これは永遠のテーマ。そこに山があるから? そんなイージーな答えではこの思いを適切に表現できない。私にとっての目的、それはまさに今回の山行で見つけることができた。途中の道のりがどんなに辛くても、寂しくても、最後には必ず報われるということだ。ランナーでもある私にとっては、山行はランでは使わない足、筋肉を使って鍛えるという目的も二義的にはあるが、何と言っても苦しみの後に待ち受けている山頂からの360度のパノラマは何ものにも代えがたいご褒美だ。しかも、初日が悪天候で視界がほとんどなく、2日目の天気予報は雨模様だったのが、奇跡的に晴れてご来光を拝み、遠くに立山連邦、剣岳、さらに遠くには槍ヶ岳までくっきりとみることができた。さらに、悪天候下で冷池山荘から鹿島槍ヶ岳のアタック途上で、関係者でもなかなか遭遇できないという雷鳥に会うことができたのだ。しかも一度に8匹も。かわいい雛たちも混ざった素敵なファミリーだ。信じる者は救われるのだ。

 今回の鹿島槍ヶ岳山行は、仕事の都合で初日から参加できず、パーティーには2日目に冷池山荘から鹿島槍北峰の間に追いつくという別行動での予定だった。分かってはいたが、前日の夜行バスで出発して、まだ真っ暗闇の扇沢に到着したときは孤独とあいにくの大雨で出発前にくじけそうになった。なぜ来てしまったかと。 しかし、結果的には雨で全身ずぶぬれになりながらも、視界のほとんどない悪天候下、単独で、しかも1日で標高1433mの扇沢から鹿島槍北峰2889mまで7時間(途中種池山荘、冷池山荘での計1時間の休憩を除く)で一気に登ったことは大きな自信につながった。

 今回の経験をもとに、さらに本格的な山行に積極的に参加するという強い決意でこの感想文を締めたい。


リーダーひらの「報告書付記」


1. 「初心者でもゆっくり登ればアルプス2500m以上にも上がれる」というコンセプトについて

・普段の山行トレーニングが不十分でも、ゆっくりペースを上げず、休みの回数を増やし、参加者が励ましあいながらいけば、そこそこ歩ける、という経験に依拠してたてた計画です。もちろんコースはどこでもできるわけではなく、”ペースを上げなくても歩ける“全体が同じ程度の上りであることが条件で、よねさんからリクエストのあった「鹿島槍ヶ岳」は扇沢から柏原新道を通れば、それにぴったりだと考えました。

・今回の山行では、よねさんに終始TOPを歩いていただきました。初日こそ、とっかかりのもみじ坂の1時間のアルバイトがきつく、休み休みでしたが、時間に余裕があり、昭文社のガイドマップのコースタイムから20分程度の遅れで無事種池山荘に到着しました。二日目以降は、みな身体も慣れて、雨中でも余裕のあるきでした。


2. 山行中の問題
・今回、ALEXさんが(お仕事の都合で)後から追い掛けて合流する計画にしたのですが、相互の連絡の取り方を細かく詰めなかったので、結局ひらが聞いていた携帯をALEXさんが持参せず、途中ALEXさんが本当に登ってきているのか確認できない時間が長く続きました。別働する場合の相互コミュニケーションの設計が杜撰だったの反省しています。途中の種池山荘・冷池山荘で伝言を確保することをマストにすべきでした。


3. 総括
・メインとなる二日目が終日雨中で、鹿島槍山頂からの展望は味わうことができませんでしたが、雨中にうずくまるライチョウ八羽!の群れに、嬉しい驚きを味わいました。三日目は早朝から雨が上がり、快晴の中ご来光を拝み、昨日はその姿を全く見ることもできなかった鹿島槍の雄姿を仰ぎ、みなで“あの山頂に立ったんだね”と達成感を共有しました。その素直な感動の声は参加者みなさんの感想文や画像にあふれています。
・ひら個人としては、1回の山行を心から大切に味わう、かつての勤め人時代の山行を思い出させてくれた同行の仲間に深い感謝の思いを捧げます。帰路の爺ヶ岳で飽きることなく大眺望を満喫し、扇沢に降り立ち、温泉で汗と汚れを落した後、たまたま拾ったタクシーの運転手さんに勧められたそば屋さんで美味美酒で乾杯して、互いのがんばりを讃えあった時間は、本当に山行をやりきった満足感に溢れていました。