2012年のGWはのんびり&ちょっと雪があるところで遊ぼうと思った。
 いつものメンバーも思ったように集まらず、寂しい宴会におなること請け合い。
 日 時:2012年5月2日(水)〜5月5日(土)
           ほとんど雨、時たま晴  平均気温10度くらいかな
 山 名:蝶ケ岳(標高2,664m)、北穂高岳(標高3,106m)
 参加者:PEIさん、○
 話は4月30日から始まる。
 例年、春山山行はてげてげに行くのが普通である。今回の春山山行も最後まで日程もメンバーも決まらず、結局この日(神田「からつ」で飲み会)も決まらず。
 ただ、メンバーだけは決めた。Peiてげてげ教祖様(以下”教祖”)と二人になってしまった。教祖の仕事の都合上、2日から5日の日程を先に決めた。

 5月1日。天気予報によれば、3日までは全国的に雨模様、何処に行っても晴天は期待できそうもない。となれば簡単なところで雪もそんなに深くない所が良い。浅草岳リベンジ計画を進言したが、先にそちら方面に向かっていたヒロ雪さん情報に寄れば、雨が降ってきたとのこと。
 結果として、横尾ベースにして散策でもするかということに決めたのがお昼すぎ。急いで計画書を作成して、食料買出しに出かけた。
5/2、早朝の沢渡

 5月1日夜、八王子を車で出発。沢渡に着いたのは3時頃。明るくなるまで車で仮眠。起きたらタクシーの運ちゃんが寄ってきて・・・・・、なのですぐに話はまとまり別の2名と合計4人でタクシーで上高地まで行くことに。タクシーのほうがバスより安いし、荷物を載せるのが楽なので助かった。
上高地バス停

 釜トンネルでの信号待ちがなくなっていた。新釜トンネルの開通によりトンネル内での離合が可能になったゆえ。

 小雨の上高地。上高地の登山センターのガイドに話を聞くと「今朝は9度もあった。5度以上あると天気は悪くなるからね。午後からは間違いなく雨が降るよ」と言われる。
 「うわ、いやだな」
上高地 河童橋

 GWの真っ最中なのに観光地河童橋に人影はない。まだ時間が早いせいだろう。
 穂高連峰にはまだ沢山の残雪。山頂付近は厚い雲に覆われている。
 反対側には焼岳、まだ登ったことがないので早く登りたい。
無人の河童橋

 リーダから「余分な荷物は置いていけ」との指示を受け、○が泣く泣く車内に置いてきた物は、メイン機(デジイチ)、着替え一式(下着、シャツ、靴下、タオル)、ホカロン、ラジオ、サングラス等で後で泣かされるものもある。
 一方、教祖様も冬用シュラフを諦めて3シーズンシュラフだけにしたって。大丈夫かなぁ?
明神館

 上高地から約40分で明神館に着く。山頂付近が雲に隠れたまさに5月の様相。
 野生のサルが群れで出てきている。管理人が空気銃で脅すと山の中に逃げていった。
 あ、携帯が圏外になっている。以降の通信手段が制限されてしまった。
徳沢園

明神館から約50分で徳沢園に着く。テントがチラホラ。今度はここでゆっくりテント生活もいいかな。
 徳沢園に貼ってあった登山道情報。どの登山ルートを選択しても残雪が豊富なようだ。アイゼンとピッケルは必須アイテムだ。
梓川

 雪解け水が大量に流れ込んでいる梓川。水は濁っているかと思いきや澄んでいる。近くで小鳥のさえずりが聞こえる。気持ち良いな。
横尾

 予定通り、3時間弱で昼前に横尾に着いてしまった。明日から何処に行くかも決めていないのと、涸沢でのキャンプ装備(冬用シュラフ)をしてきていないので、ここにキャンプを張ることにする。
 とりあえず、受付で2泊料金を支払う。
横尾キャンプ場

 テントを張り終えた途端に上高地山岳ガイドの予想通り(天気予報どおり?)大粒の雨が落ちてきた。水がテントの下に流れてこないようにテントの周りに溝を掘る。雨は一向に止む気配を見せず夜もずっと降り続く。じわじわとテント内に水が侵入してくる。銀マットにはとっくに浸水してしまい、エアマットだけがたより。濡らしてはいけないものは再パッキングしてザックに突っ込む。
 やることないし、雨中の長い夜は焼酎でごまかすに限る。


5月3日 蝶ヶ岳往復

 雨は5時過ぎまで止まなかった。近くのテントで春山合宿をしていると思われる学生団体が1時頃起床して食当が動き出したが、先生が「行動開始を2時間遅らせる」と指示を出している。外が明るくなっても誰も行動を開始しない。

 このまま沈滞もつまらないので、天気予報(昼から晴れ)と期待を込めて蝶ヶ岳に登ってみることにする。
蝶ヶ岳登山口

 横尾から蝶ヶ岳(標高2,677m)への直登ルートは、標高差1,057mであるが、いきなりの急登で始まる。
 今日は練習だからアイゼンはつけないで行けるところまで行く。

 途中で降りてくるおばさんと会話。「この上に槍見台ってのがあるはずなんだけど解らないのよ」。って言われてもねぇ。こちらも初めてですし・・・。
森林限界

 小雨は止むこともないが、晴れ間が訪れることを信じて黙々と登り続ける。展望もなく何の楽しみもないが、赤ボロもほとんど無いのでオリエンテーリング並みのスリルはある。ちなみに写真のルートは間違っているようだ。蝶ヶ岳山荘に誤ルート情報が張り出されていた。山頂付近には雪が残っていない。
 雪もたいしたことなく、5月の蝶ヶ岳は入門者には快適な山である。
稜線に出る

 蝶の稜線に出る。雲の切れ間から槍ヶ岳方面がチラッと見える。お、教祖様の「俺は晴れ男なんだ」の神話が実話になるのか?ちょっと期待できる。
  常念への道

 常念岳から縦走してくるコース。気持ちよさそう!
雪渓

 蝶の稜線付近に現れた雪渓。蝶の形をちたのはないかな?
蝶ヶ岳ヒュッテ

 もっと雪に埋もれているのかと思ったが、ほとんど掘り出されている。
 方位盤があるが、ガスで展望は効かないので無意味。
蝶ヶ岳山頂(標高2,664m)

 蝶ヶ岳ヒュッテの裏が蝶ヶ岳山頂になっている。生憎とガスの中なので展望もない。ちょっとがっかり!
蝶ヶ岳山頂

 山頂の看板は昔のもある。
分岐点

 三俣登山口から登ってくるとここに出る。常念岳、徳沢に向かうこともできる。
 テン場はまだ雪に埋まっており、テン場の雪を避けて稜線に一張りだけ張ってある。ここまでテントを担いでくるあんたは偉いよ。
蝶ヶ岳ヒュッテ

 蝶ヶ岳ヒュッテの前で持参の昼食。予めお湯を入れてきた乾燥五目御飯。
 ちょうど山荘の人が出てきたので話を聞く。雪の量は例年と変わりないこと、前日から悪天候であること、4月20日頃に山に入ることなどを教えてくれた。
ボチボチ出発してみるか

 分岐点あたりまで行くと、もしかして晴れるかもしれないので、移動する。

 晴れていれば、雪渓に埋もれて楽しめるかもしれない。
  じっと天候の回復を待つ

だ瞑想の丘を通過して分岐点あたりまで戻って天候の回復を待つことにする。携帯は圏外だし、寒いし、、、、30分ほど我慢したが、ついに晴れ間が見えることはなく、下山を決意する。

 ヒュッテの管理人が黙々と登山道を整備している。一緒に手伝いましょうか?挨拶するとにこやかに答えていただいた。ご苦労様です。
師匠もこける

 上りで間違えたルート上には「×」がしてあり、正しい登山ルートに目印が立ててある。ここで、教祖が珍しくスッテンコロリン。ちょうど○が写真撮影中だったぜ。あはは (^^)v
本日のご褒美

 横尾−蝶ヶ岳ルートの標高2,100mに位置する通称「槍見台」から偶然にも槍ヶ岳がでーんと見えた。南岳から大天井岳まで見渡せる。おぉ、、、、コレが見たかった。感動の一瞬!
も一つ槍ヶ岳

 この時期に槍の穂先に登るにはちょっと勇気がいる。○はきっとビビッてしまうだろうな。
  見事な景色

 左手にはロッククライミングのメッカ屏風岩がガスをまとっている。教祖はあそこを登ったんだって。素直に拍手して上げよう。左手の奥が涸沢だ。

 じっくりと北アルプス主峰を堪能して下山を続けることにする。
テン場

 テントの数が3倍ぐらい増えている。雪がほとんど溶けた。
 登山靴内部に水が入って靴下もグチョグチョ。3シーズン用の革靴にしたのが失敗だったか。靴下の替えは持ってきていない。銀マットもエアマットも外に出して乾かす。ちょっと乾いた頃にまたもや雨。(T_T)
 夜半の雨は半端じゃなく、強風も吹き荒れる。ゴーという音がすごい。テントごと持っていかれそうだ。

靴擦れ

 山で初めてかかと部分に靴擦れを起こした。正確には下界も含めて成人してからは初めての経験である。山靴は1997年から履いているから足掛け15年も履いているのに。
 3日目に一ヶ所、バンドエイド張ったらさらにもう一ヶ所増えてしまった。原因を想定してみるが、当たっているかどうか自信はない。
 1.靴の中に水が入ってきて、靴下が濡れた。
    3シーズンの革靴防水程度では対応できないほどの湿った雪で、靴下も
    ビチョビチョ。靴下は2枚履いていたが、3枚500円の5本指ではダメだった。
    変えの靴下もなく、最終日は濡れたままの靴下に中まで濡れた登山靴。
    
 2.アイゼン
   スノーシューズにつけない12本歯アイゼンを無理やり革靴に装着。
   かかと部分がワンタッチになっており、微調整で多少きつめに締めた。
  この圧力でかかと部分に力が加わり、靴擦れとなったか。

  ちなみに教祖様も靴擦れになったというから、1項説が有力かも。 
 →2012..7月靴の内側かかと部分を修理(3,000円)



 ○ : 「教祖様、明日はどうしましょう?」
 教祖:「”槍”往復はどうだ?」
 ○ :「え、そんな無理無理!」
 教祖:「大曲までは?」
 ○ :「大丈夫です」
 教祖:「俺は昔ね、バカなことをやったんだよ」
 ○ :「今でも、バカじゃないですか」バキッ!!☆/(x_x)
 教祖:「槍沢キャンプ場(ババ平)で酒がなくなって、
     深夜にこの横尾山荘まで酒を買いに来たんだよ。
     で、管理人を起こして酒を買って帰ったんだ」
 ○ :「それ、あり得ませんよ、だって片道2時間はかかるっしょ?」
 教祖:「明日は明日の風が吹かぁ、雨だったら帰ろうか?」
 ○:「ははぁ」m(__)m

5月4日 北穂高岳往復

 天気予報に反して今日も雨。それでも、3時頃に雨は上がった。星は出ていないがガスが出ている。シュラフに入ったまま、教祖様に本日の行動指針を仰ぐ。
 ○ :「教祖様、本日の天候はいまいちですがいかが致しましょう?」
 教祖:「そだな『槍の穂先』でも見に行っど!」
 ○ :「はぁ、、、まぁいいですけどぉ・・」
 教祖:「それとも涸沢でビールつうのは?」
 ○ :「あ、それ、大賛成!行きましょう、行きましょう」 (^^)v

 ということで、涸沢ヒュッテか涸沢小屋で「生ビール+おでん」で乾杯コースを教祖様の気が変わらぬうちに即決。
 で、いそいそと起きだして教祖様の朝食&昼食を準備。5時半出発。
横尾橋

教祖:「あ、橋が綺麗じゃっど」
 ○ :「あのねぇ、いったい何年この橋に来ていないんですか?」

 橋の下のテン場にはハーネスやカラビナをつけた登山者がいる。これから屏風岩をやる人だな。教祖様は羨ましそうに見ている。奥の方には強風で飛ばされたテントが引っかかっている。飛ばされたテントは他にも2つほどある。
朝焼けの屏風岩

。雪解け水が滝になって落ちている。夏には見ることの出来ない景色。ハーケンを叩く音はまだ聞こえてこない。取り付いている人はいないようだ。
 教祖:「あそこの奥まったところが****岩でねぇ、F君と登ったよ。」
 ○ :「はぁ、△■×※」 (岩の話をされても○はさっぱりリカイフノウです)
本谷橋

 まだ橋は架かっていない。渡渉?と怖気づいたがそんな必要はない。雪ですっぽり埋まっていて川は雪の下に埋もれている。夏と同じように、本谷橋は休憩ポイント。殆どの人がアイゼンをつけ始める。
 天気が良くなってきた。イイドイイド。
デブリ

 大量のデブリ(雪が雪崩れて積もった場所)を抜ける。どんどん天気が良くなってくる。涸沢カールが近づいてくる、おぉ・・・・\(-o-)/
本日のご褒美

 前穂の手前あたりが見えてくる。出発時はこんなに天気が良くなるとは思ってもいなかった
 どーんと広がった涸沢カール。夏とは全く違う真っ白な世界に吸い込まれそう。青空が広がり天気が急速に良くなっていることが実感できる。身も心もウキウキ。でもサングラスは持って来なかった。荷物になるから。雪目になりそうで怖い
涸沢カール

 涸沢の魅力にひかれて登山者が集まる。最高の景色。
 更にひと登りで涸沢ヒュッテの鯉のぼりが見えてくる。真ん中に小さな点に見える鯉のぼりだが、「早くおいで」と尾びれを振っているのが見えるようになるとあと一息で涸沢カールだ。
  ついにやって来ました、鯉のぼりの涸沢カール。
 雪の上には、色とりどりのテントが花を咲かせている。
テン場を横目に、涸沢小屋に向かう。え? ビールは?
何故か涸沢小屋へ

 さぁ、『名物生ビール&おでん』(しめて1,300円セット)にありつけるぞ。\(^o^)/
 なんせ、キャンプ3泊分に近い銭を投入してビールを飲むんだ!

 ○ :「ささ、教祖様早く『ビール+おでん』と行きましょうや」
 教祖:「その前にちょっとやることがある」
 ○:「え?」
 教祖:「何年か前の怨念は忘れねぇ」
 ○ :「あ、そうですね。一畳に4人寝せられたんですよね」
 教祖:「そうだ、あれはいくらなんでもひどかった。トイレに起きたらもう寝る場所がない」
 ○ :「一枚の敷き布団に両側から枕4つですからね、人間の扱いじゃありません」
 教祖:「悔しいから、涸沢小屋でトイレ」
 ○ :「どてっ」
何故か北穂高岳に登ることに

教祖:「よし、天気は上々だし、前回のリベンジとしてこれから北穂に登っど」
 ○ :「へ? 今、なんちいうたと?」
 教祖:「あと3時間頑張れば槍ヶ岳の絶景が見ゆっど」
 ○ :「え? ゴキブリじゃないけどホイホイ」
 ということで、北穂高岳(標高3,106m)まで、また700mも登ることになった。
北穂高岳へ

高度がぐんぐん上がっていくと、涸沢カールを下にして、前穂と奥穂が見えそうになってくる。が、どうやらガスがかかってきたようで山頂は見えない。奥穂を目指している人もたくさんいそうだ。
北穂高岳へ

 涸沢小屋を出てから2時間が経過。勾配は段々と急になり、休む場所もない。最後は四つん這いになってよじ登る感じ。さすがの教祖様も手をつきながら登っている。
 まだ登りは果てしなく続いている。もういやだ、こんな登り!と心の中で叫んでいる。苦しい!
 登り始めて2時間半以上経過、息も絶え絶えに稜線に出る。それまでは無風で蒸し暑かったが、稜線に出るといきなり滝谷からの強風が正面から吹き付け、体ごと吹き飛ばされそうになる。耐風の実践だ。体ごと持っていかれそうになる。もう、怖くなって登るのを止めようかと思ったが、教祖様の姿は全く見えず、どんどん先に登って行ってしまったらしい。
北穂高岳

 泣きそうになりながら歯を食いしばって登り続けると、いつしか横殴りのみぞれが頬に叩きつけている。痛いが目出し帽を出している余裕はない。我慢しながら進むと、いきなり平坦な場所に出た。

 なんと、そこが北穂高岳山頂(標高3,106m)だった。
 がーん、槍ヶ岳の展望を期待して3時間もつらい思いをして登ってきたのに、なんという天のいたずらだ。何も見えない。
北穂高小屋へ

 山頂はみぞれが吹き付ける厳しい条件なので長時間滞在することはできない。
 でも少し待てば、もしかしたら槍ヶ岳が見えるかもしれないという淡い期待ももてなくなる。ならば山頂直下にある北穂高小屋で風を避けて待ってみようかということで、小屋に降りてみる。小屋までの階段は積雪5m程を掘り出して切ってある。
北穂高小屋

 北穂高小屋の前には多くの登山者が休憩している。小屋の向こうを見に行ってみる。滝谷からの突風が吹きつけて、数秒も立っていられない。こんな所によくも小屋を建てたものだと感心しきり。
 小用をしたかったが、アイゼンを外さないとトイレが利用できないので、ここではじっと我慢する。

北穂高小屋
 小屋の人が表に出てきて「ラーメンお待ちの人?」と叫ぶと、「はーい」と山ガール風の3人が一緒に応えて、どっと笑いが起きる。続けて、「カレーお待ちの人?」と続けてカレーが出てくると、「お、俺たちだ」って、60台のおじさん。誰も笑わない。ラーメン800円。
 うちらは、アルファ米の五目御飯(それも賞味期限切れ)、既に冷たい。(T_T)
 若いお姉ちゃんは熱々ラーメン。この差は何だ!
やっぱり槍ヶ岳は見えず

 20分位小屋の前で待機したが、天気の回復見込めず、靴の中に水が入ってきたようで足先が冷たくなってきた。凍傷は避けたい。悔しいけどもう降りよう!
 もう一度、山頂で写真を撮っておくか。変わり映えしないなぁ。こんな山容(2001年9月撮影)を期待して頑張って来たのに・・・。ガックリ


 一気に力が抜けていくのであった。
 「がくっ」・・・岳っ これでもどうぞ。バキッ!!☆/(x_x)

 ところで、岳もいよいよ最終巻になるらしい。なぁんだ、やっとヒマラヤに向かったのに、今度はあっけなく終わりかい?
滑落事故 本人  回想録・・・関係者にはご迷惑をおかけしました。生きています!

 下山開始。 教祖様はとっとと先を急いでおり、既に姿は見えない。○は小用タイム。岩陰に隠れて済まそうとしたらなんと滝谷側だった。(^^ゞ
 すっきりはしたが、すごい急な下り。早く、教祖様に追いつかなくては

 やってきました恐怖の瞬間。滑落の瞬間写真なんか撮る暇はもちろんなく、その後もボーっとしていて何度も転んで、やっとの思いで降りてきたんだ。

 時間を戻す。11時15分頃、現場は山頂直下(標高3,000mくらい)の急な下り。登るときは単なる急登だと思った、降りる時は更に急な下りだった。○は小用で遅れたので教祖様に追いつこうと、早いペースで急な雪面をアイゼンを着けてドカドカと調子よく降り始めた。
 と、その時に予期せぬ出来事(まだ事故とは思っていない)が起きた。
 アイゼンのかかとの部分にある爪を蹴りこんだ(踏んづけた)つもりだったが、弱かったらしい。
 つるっと滑ってしまった。スーパースローで再生したくなるかも・・
 まず、お尻を着く。雪面だからお尻が滑り始める。
 おしりを着いたまま、もう一度アイゼンを蹴りこむ。今度はアイゼンはしっかり効いた。
 が、滑る勢いがついていたので、スピードは止まらず、前転して背中で着地し。更に滑りスピードは加速する、体が縦横にぐるぐる回る。

 ○  :「すみませーん、すみませーん」と叫びながら滑落中
 教祖 :「止めろ、止まるんだ」
 下山者:「ラーク」 ・・○:そっか、人間でも”ラーク”と言うのか、変に納得する。

 滑り落ちながら、○は何故か冷静に判断して行動していた。
 とにかく「うつぶせ」になってピッケルを雪面に食い込ませて制動するんだ。
 ずぶずぶとピッケルは埋まるが制動が効かない。
 何度もトライ、力いっぱい雪面にピッケルを突き刺すとなんとか滑落停止が出来た。

 顔を上げて上を見上、降りてくる下山者たちに
 ○:「どうもすみませんでした」と誤る。
 下山者:「オレのピッケルにあんあたのピッケルがぶつかったぜ。カーンと音がしたろ」
 下山者:「あ、立ち上がったじゃん。生きているからレスキューいらないよネ」
 下山者:「もっと早めに声を出してくれない?避けられないんだから」
 ○:「あ、メガネがすっ飛んだ。無い!」
 下山者:「あんた100mぐらい落ちてきたよ、わかってる?」
 ○:ぞっ

 ○が立ち上がった直後に、すぐ隣を滑落者が落ちていく。
 その後も、次々と滑落者が滑っていく。超危険地帯だ。少なくとも5人はいた。
 ○のすぐ横を滑落者がすごいスピードで滑落していく。スゲー。唖然!
 一番すごい人は500mぐらいすっ飛んで落ちていった。
 その人は、大きな岩のわずか2mぐらいのところを落ちていった。岩にぶつかっていたら間違いなく死んでいたな。コワー。

 ガイド:「落ちた人のトレースに入るな、また上から落ちてくるぞ」と引率者を案内
 ガイド:「あんなになりたくなければ、後ろ向きに下りろ」

 教祖:「春山だからスピード遅いよ。冬山ならもっとスピード出るぞ」
 ○ :「いやぁ、結構滑りましたヨ」
 教祖:「冬山だとアイゼンが刺さらないから絶対に止まらないよ」
 ○ :「はい、申し訳ありません」
アイゼンの爪跡
 鉄の爪ならフリッツフォン・エリック、え?昔のアイゼンは鉄だった?へぇ
 焼き入れで先端の爪が折れるように仕組んだのはアズリンの推理小説。

 あ、現実に戻ろう。
 今回は○が全面的に悪いのであります。
 ○がスッテンコロリンとこけた時に、教祖様が身を挺して止めてくださいました。
 ○:「え〜い、○の必殺ドロップキックを受けてみよ」

 教祖様は、ガッシと○のドロップキック張りのすね攻撃を受け止めてくれた。
 がっ、その際に、幸運不幸にも○のアイゼンが教祖様のフクラハギあたりに命中し、アイゼンの先端の爪で、教祖様のスパッツをスパッツと切り裂いてしまいました。
 爪は肉には到達しなかったようで、残念一安心ではありますが、教祖様のスパッツをダメにしてしまいました。
 恐いですよね。まだ買ったばかりなのにこんなにしちゃいました。
 カギザキ。

 ○が弁償するっていうのに、教祖様は「修理するからいい」と・・・・
 で、こんな風に自分で修理したんだと・・・(後日、メールで送られてきた)
涸沢カールから仰ぎ見る

 眼鏡なしで雪面は見えないし、何度も何度もすっ転びながら、
 慎重に涸沢カールに降りた。
 恐かったよ〜。教祖様にぶつかって助けられ、教祖様のスパッツ破いてしまった。
 教訓として生かさねば。メガネぐらいはなんとでもなるしね。
 新聞沙汰にならなくてよかったし、もっと慎重に降るべきだったと深く反省しています。

 涸沢から見上げた北穂の雪渓。○が滑落した最上部あたりは雨雲がかかっていた。
涸沢カール

 涸沢カールまで降りてきた。山頂から約1時間半で降りてきた。いくら、こけたとはいえ、やっぱり下りは早い。
 テントが少し増えたかな?天気は良くなるのかな?
涸沢ヒュッテ

 多くの人がビール&おでんを楽しんでいる。テラスに行くにはアイゼンを外さねばならない。ま、そのくらいはしょうがないか、とアイゼンを外す。
 その時を待っていたかのように、大粒の雨が降りだした。テラスにいた人たちは蜘蛛の子を散らすように部屋に戻っていく。あらぁ、いいなぁ。
 こちらは、水がなくなったので水道で補給して、トイレに行って雨具を着込んで雨対策。
  涸沢ヒュッテ

 ○ :「生ビール+おでんを買ってきましょうか?」
 教祖:「だめだ、下山道はまだ危険だ。今は飲まないし飲ませない」
 ○ :「へ?」(ありえない返事に仰天)
    ちなみに、教祖様とは20年ぐらい一緒に山に登っているが、一度として「飲まない」という言葉は聞いたことがない。
 それほど、○の滑落に責任を感じたんだろうか?すみません・・
涸沢ヒュッテ

 テントの受付をする人がたくさんいる。テントでテントの受付ってのもいいね。テント見学。雪上テントならではの階段というか靴置き場がこしらえてあったり、皆さん工夫をしている。

  では、寂しい鯉のぼりを後に横尾まで降りることにしましょう。
今回の目的「涸沢で生ビール+おでん」がないなんて信じられなーい。(笑)
さようなら涸沢カール

 後ろ髪を引かれながら涸沢カールを後にする。
 眼鏡がないと辛い!
 朝よりすごいことになっている。蟻の行列のように登ってくる人はひっきりなしである。さすがに人気の山である。夏ほどではないが、みんな観光地にやってくるみたいにルンルンである。
  スキーを滑らせる人

 上高地から6時間もかけてスキーやスノーボードを担いで登って来るという意気込みを買う。よっぽどスキーが好きなんだなぁ。
本谷橋

 例によって大勢人が休憩中。いつになったら橋が架かるんだろう?

 振り向けば南岳東稜。
  横尾橋

 涸沢ヒュッテから2時間半で横尾に到着。今日は涸沢までのはずが予定外の北穂高まで登ったので、非常に疲れた。眼鏡がないので更に不便で疲労倍増。

 今日は、もう上高地まで行く気がしないので延泊を決定する。
横尾テン場

 今回の山行で初めての『ビール』がこれです。情けないボク!涸沢の代わりに横尾で! あちゃぁ、またもや雨が降ってきたので、仕方なくテント内でひっそりと「カンペェ!」。このビールは350mlで500円もする。テン場代と同額だヨ。高っ!
 「あのう、○のコップにはこれ一本だと楽に入っちゃうんですけど〜」バキッ!!☆/(x_x)
 後は、焼酎を空っぽにするだけさ。

帰らなくっちゃ・・・

 うぉぉ、朝からいい天気!サ、山に行こう!
 ブブー、急に現実に引き戻される。高速道路が渋滞するから午前中に松本ICに入りたい。そっから逆算すると5時にキャンプ場を出発。ちょっと予定は遅れたがずぶ濡れのテントをそのままパッキングして、靴擦れの足にバンドエイドを貼って重いザックを背負いザックザックと歩きy始めるぐ。
 明神岳ともお別れだね。
  新村橋

 横尾から上高地まで3時間のつまらない旅。天気は最高なのになぁ。涸沢からパノラマコースを下りてくるとここに出る。距離は短いが結構ハードなコースらしい。いつかは歩いてみてもいいかな。
徳沢園

 井上靖の小説「氷壁」の舞台となる宿。結構人気があるらしい。なお、小説のモデルとなる”切れたザイル”の実物は大町の山岳博物館に展示してあるので一度見るとよい。
 ここでも、ビールはパスでした。
徳沢園

 今日の徳沢園には沢山のテントが張ってある。
 この後、上高地からタクシーで相乗りした夫婦は、徳沢園から蝶ヶ岳に登って、横尾に降りて徳沢園に戻ってきて宿に泊まったのだという。なかなかリッチで良いプランですね。
明神

 明神で最後の休憩。公衆電話の近くに行けば、携帯が通じる。自宅にメール打っておく。

 上高地まで3km、足の靴ズレが痛くなってきた。登山靴がダメなのかな。(後日、登山靴を見たら、かかと部分がボロボロになっていた)
河童橋

 8時半に河童橋に戻ってきた。今日は多くの観光客で賑わっている。穂高連峰は来たときと同じように山頂付近には厚い雲がかかっていた。
 焼岳方面は晴れている。
河童橋

 ○は北穂の下りで眼鏡をふっ飛ばしたので眼鏡をかけていない。物が見えず、世界が暗くなっている。自分の車でなかったので良かった。教祖様、車は任せましたぞ。バックは焼岳。
  梓川

 木梨平にはたくさんのテントが張ってある。昨夜の雨に濡れたテントやシュラフをひたすら乾かしている。

 上高地でタクシーに乗ろうとするが、相乗りする相手がなかなか現れない。痺れを切らして○がバス乗車券を買おうとする人に声を掛けて回る。何組かに声をかけたらやっと同乗者を見つけられた。タクシーの運転手は、自ら声を掛けてはいけない暗黙のルールなのだそうだ。
 沢渡で温泉に入り3日間の汗を流す。ここの駐車場は利用者だと200円引きだった。同じタクシーに乗った人と温泉でも一緒になった。
 一路、帰路に驀進。
  富士山

 中央自動車道甲府付近からの富士山


 八王子まではもうすぐ。
 お疲れ様でした。


○のHP