――― おそろい ―――
「ほら、着いたよ〜。ルシ君」
ルシフェルの部屋に着き、ベッドに乗り上げ抱きかかえていたルシフェルを下ろす。
こうしてルシフェルをベッドまで運ぶのは、彼が酔ってしまった時のもはや恒例に
すらなっていた。
「・・ん・・ブラムさん・・」
背に回されたルシフェルの手はいっそう強く絡んでくる。流石に慣れて来たとはいえ、やはり
これにはドギマギしてしまう。ブラムはやんわりとルシフェルの腕を剥がし、とりあえず微笑んで
見せた。
「ほら、ベッド着いたから。ね? 」
だからもう離れようね=E・・そんなメッセージを、ルシフェルは即座に読み取ったらしい。
離れようとしたブラムにギュム〜〜〜っと抱きつき、いやいや≠ニ首を振った。
「一緒にいる・・・の・・」
「・・る、ルシ君、ちょっ・・・」
涙声で擦り寄られ、ブラムは更に戸惑う。ルシフェルが素面の時にこの状況であったなら
どれほどまでに喜ばしいことか・・・。
「ブラムーーー、早く来いよーーー」
(・・・ヤバ・・)
外からリギィの自分を呼ぶ声がして、ブラムはうっかり劣情に流されそうになっていた自分に
ハッと気がついた。そして慌ててルシフェルから体を離す。
「・・ゃ・・だ・・」
ルシフェルが泣きそうになってしまったのがわかったが、それでもブラムは少しばかり力任せに
彼の腕を引き剥がした。そして言い訳のように言う。
「ほら、リギィも呼んでるから・・・俺行かないと」
取り繕うような笑みを浮かべ、体を起こし、ベッドから下りようとするが・・・・
「だめっ」
ブラムの背後から、またもルシフェルがギュッと抱きついてきた。
「ルシ君・・・」
嗜めるように呼びかけるブラム。それでもルシフェルはべったりと背中にくっつき、
離れようとしない。そして呟いた。
「・・二人でいたいです」
消え去りそうなくらいか細い、甘い声。
(・・・可愛い・・)
ブラムはアッサリ陥落した。
ルシフェルに向き直り、それはもうぎゅ〜〜〜っと力いっぱい抱きしめ返す。
二人でいようね〜〜♪≠ネんて言いながら。
「ぁ・・ブラムさん」
「ん? 」
ブラムの肩に寄りかかり、とろんとした瞳でこちらを見つめていたルシフェルが何か思い出したように
自分の荷物を探り始めた。
「ぷれぜんとです」
少しばかり大きい包みを取り出し、それを差し出しながらまたもピッタリとくっついてくるルシフェル。
どうやらルシフェルが用意してくれていたクリスマスプレゼントらしい。
それを受け取りつつ、ブラムはわくわくした様な子供っぽい笑みを浮かべた。
「開けてもいい? 」
尋ねてみる。ルシフェルはコクリと頷いた。
「セーターだ・・」
淡いブルーのセーター。しかも・・・
「もしかして・・・手編み? 」
ルシフェルはまたも頷く。初めてだからヘタっぴです・・≠ネんてしゅんとしているが・・・
ブラムは心からの笑顔を浮かべた。
「すっげぇ嬉しい」
プレゼントを持っている方とは逆の手でルシフェルを抱き寄せ、耳元で囁く。ありがと≠ニ。
「あ、じゃあホラ。担保&ヤさなきゃ、ね」
ブラムは自分の耳を指差して言った。
担保≠ニはブラムの左耳にいつもつけてある薄いブルーの小さなピアス。昨年のクリスマス、
ルシフェルが僕が来年ちゃんとブラムさんにプレゼントをあげるまでの担保です≠ニいって
渡してくれたものだ。
ちゃんとプレゼントを貰ったのだから、返すのが当然・・・そう思ったのだが、ルシフェルは
ふるふると首を横に振った。ダメです≠ニ。
(・・・? )
首を傾げるブラムだったが、その理由はすぐに説明されることとなった。
「おそろいで、一緒につけてるのがいいです」
恥ずかしそうに、ルシフェルは呟く。
(・・酔ってる時のルシ君って、マジで心臓に悪い・・・)
心臓に悪いというよりは理性が保てなくなりそうで危うい・・・ブラムはそんなことを思いつつ、
再度ルシフェルを抱きしめるのだった。
「・・・・」
(・・可愛いなぁ・・・やっぱ・・)
自分の腕の中で心地よい寝息を立てるルシフェルを見つめながらブラムはしみじみと思う。
いつものルシフェルも勿論好きだが、酔って飛び切りの甘えっ子になるルシフェルもまた格別。
ブラムの頬はついつい緩んでしまっていた。
(・・俺のプレゼントは・・・また明日にでも渡すかな)
枕元に置いたルシフェルからのプレゼントの包みを見やり、とりあえずとばかりにそう決める。
先ほどルシフェルの言った台詞を思い出してはまた笑みを零していた。
自分たちはとんだ似た者同士なのかもしれないと思ったのだ。もしくは恋人未満のバカップルか・・・。
おそろいで一緒につけるのが良い
ブラムの買ったルシフェルへのプレゼントとは、いつもブラムがつけているものとおそろいの
香水だったのだ。
「おそろいで・・・つけようね」
囁き、ブラムはルシフェルの額にそっと口付けた。
――――― Merry Christmas.
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クリスマス企画第四弾・・・いやホントは三段と同じものだったんですけど、
長すぎちゃって分けちゃった。
前回の方はイマイチ甘くなかったのでこちらは甘甘で。
恋人未満のバカップル・・・言い得て妙だな、と思いました。