■特殊なシュアラム草って・・・。■

一方リギィは・・・。

「ユディト、コレって食えるんかなぁ?」

「・・・きゅ・・(-_-;)」

空腹のようだ。元々体内に取り入れた食べ物全てを原動力に変え、常に力の限り

駆けずり回る彼は燃費が悪いらしく、特に獣の遺伝子が混ざった合成獣に

なってからは余計にお腹が空くのだという。

「ユディトユディト、この花とか食えそうじゃね?」

「きゅいきゅい{{{(>_<)}}}」

くんくんと鼻を利かせながら、リギィが近寄って行ったその花は食虫植物・・・。

ユディトは必死にリギィの服をひっぱりその食欲をくい止めようとするのだった。

「おいしくないんかな〜・・・。お、ユディト、ユディト!」

ようやく大人しくなったかと思えば今度は真直ぐ突っ走り、既に泥だらけ

となった服の袖を、泥が飛び散っているのも気にとめることなくブンブンと

振り回してユディトを呼ぶ。

今度は何なんだろう、とユディトが不安そうに浮かびよるとそこには珍しくも

無いありきたりな形の草がある。

「くきゅ〜(???)」

今度はいったい何なんだよ、と言わんばかりにユディトが顔を覗き込むと、

リギィは満面の笑みで言う。

「コレってルシフェル達の言ってた『シュ・・・何とか草』じゃね?」

"じゃね?"と尋ねている割にはユディトが何のリアクションも取らないうちに

リギィはルンルンでそれを摘みはじめていた。

「ルシフェル達絶対喜ぶよな。オレも役に立つじゃんか〜」

「くきゅぃ〜ヽ(^o^)丿」

ユディトもそれを手伝い始め、持たされていた袋にそれらを入れようとしていた時だった。

「それはウクレイナ草、シュアラム草とは良く似ていますが良く見ると小さな花がついて

いるんですよ」

背後から事務的な口調の低い声が聞こえてきた。

「花?・・・あ、マジだ。めっちゃ小さいけどなんかピンクいのあるぞ」

「くきゅっ(V)o¥o(V)」

言われたとおりに自分達のとった草を見てみると、中央部に微かに

ではあるがピンク色をした花が咲いている。ガックリしながらも、リギィは

間違いを教えてくれた声の主に礼を言おうと振り返るとそこには・・・

「よっ★」

(ネコーーーーーーーーッ・・・と判断してよいものやらーーーーーーーーーッ!!!!)

妙な生き物が目前に迫っていた。

「なんだいなんだい、お愛想悪いZE☆さぁ〜ミンナ揃って、めっぎゅちゃんでっす♪」

「・・・・・・・・・・・・・・な・・な・・・」

テンションの高いその生き物を後目に、リギィは口をパクパクとさせながら

一歩、二歩と後に下がってゆく・・・。

「コホン。所長の命により(というよりハメられて)あなた方を手伝いに来たフィアル・C・

ディブロンです」

「そしてプリティウーマンの続編に出てみないかって誘われ中のハリウッドデビュー目前、

助手のめぎゅ・・・なんだな(ニッカリ)」

見るからに風変わりな連中に普通ならば驚く、もしくは呆気に取られるのだが・・・

「手伝ってくれんのか?お前らいいヤツなのな〜♪」

リギィなのですんなり受け入れた。

「・・・まぁ、一応。・・・というのも、あなた方に探していただかなければならない

シュアラム草というのが・・・」

「普通のじゃなくってからね、なんちゅーか、ホラ、レアモノ?みたいな〜♪」

「・・・・・・(ちょっと怒)。所長の欲しているのは通常のものではなく、特殊な効果をも

たらす物なのです」

「特殊な効果?」

フィアルとめぎゅの妙な掛け合いを気に留めることも無く、リギィは好奇心

むき出しのキラキラ瞳で聞き返す。

「それは・・」

「あんなぁ、普通のは惚れ薬とか作れる超NICEなシロモノなんだけどぉ、

所長しゃんが探しちょるのはそれの二倍以上の大きさの、ハイパーなものなにょさ☆」

「・・・・・・そうなのです」

めぎゅに台詞を取られ、フィアルはいつにも増して無愛想に続けた。

「ある目的のため、どうしても効果の大きなものが必要でして・・」

「ふーん」

「きゅ〜ぅ(T_T)」

リギィとユディトは意味が良く分からない所為もあり、ポカンと聞いていた。

■大漁大猟!?■

リギィたちが無意味とも言えるじゃれ合いをしている頃、こちら賞金稼ぎペアは・・・。

「ルシ君・・・・コイツは・・なんだっけ?」

「えーっと・・・ランクFのイライザ・サルスティーンですね」

「じゃあ・・・あ、コイツ」

「う〜んと・・・・あっ、ランクEのマローネ・ザウダールです」

大量に倒れている男達を鑑定していた。・・・"倒れている"などという表現を

したが、倒れさせたのは無論ルシフェルとブラムである。

あれから数分間待っていたものの、一向に出てくる気配のない賞金首に痺れを切らし、

結局ルシフェルの魔法を使い、自分達は中に入ることなく相手をいびり出そう、

と言う事になったのだが・・・そこで驚くべき事なのが、出てきたのはルシフェル達の

遭遇したムスク・カートゥンだけではなかったという事・・・。ぞろぞろぞろぞろとランクの低い、

所謂ザコ賞金首達が揃って顔を出したのだ。チリも積もれば・・・などと思いつつ、

全員を捕まえるために二人揃って大暴れ・・・して、現在に至る・・というわけである。

「ざっと見積もっても・・・ランクBを二、三人とっつかまえたくらいの価値はあるね」

「たなぼたラッキーですね」

大暴れしたため・・・いや、思いがけず賞金首を多く捕まえる事が出来たため・・

という事にしておこう・・・とにかくそのために機嫌のいい二人は賞金首一人一人に

縄をかけながら楽しげな会話を繰り広げていた。

「・・そういえば、シュアラム草もってっちゃった人いましたよね?出してください」

「隠すとボコる」

・・どちらが悪役なのだろう・・・ルシフェルとブラムは笑顔で賞金首達に脅しをかける。

「・・・・こちらです」

ビクビクしながら一人が隠し持っていたらしいシュアラム草を差し出した。

それを見たブラム&ルシフェルはよりいっそう笑顔で・・・

「有難うございます」

「もうちょい早く出せばもっと良かったけどな」

「す、すんません」

尚ビクつきながら、賞金首達はペコペコと頭を下げて謝る。

中には半泣きの者もいたり・・・。どうやら余程・・・賞金稼ぎペアが"大暴れ"を楽しんだらしい。

「どうします?これで目的は達成できましたし、リギィを探して合流しましょうか?」

「だーね。こいつら連れてウロウロすんのも面倒臭いけど・・・

ま、逃亡考えるような命知らずもいないだろうし。ゆっくり行こうか?」

「ですね」

こうして、達成感でいっぱいになった二人は湿原奥、賞金首の住処を後にした。

こういう輩達がいる所為で賞金稼ぎと言う仕事が、イマイチ柄の悪いイメージを持たれて

しまうのではなかろうか・・・などと、ムスク・カートゥン達が思ったかどうかは定かで

はない。

■フィアル限界を迎える。■

その頃・・・。フィアルは疲れていた。・・・というのも、

「なぁなぁ、お前着ぐるみなのか?」

「んなにを〜っ!?めぎゅはめぎゅだいっ!!!」

「すっげぇ〜っ!!超しゃべってるぞ!ユディトも実はしゃべれるのか?」

「くきゅくきゅ(>_<;)」

「めぎゅは特別なんだいっ☆★」

「やっぱ着ぐるみなのな!?」

「ちっがーーーーーーーーーーうっ!!にょだ☆★」

このやり取りが先程からかれこれ数十分間続いているからである。

「・・・・・・・・・・・・」

無表情のままそのやり取りを見つめるが、入りたいとも思わないため

ボーーーっとするのみ。しかも湿原に来ているにもかかわらず

白衣に革靴・・・・・・フィアルは一刻も早く帰りたかった。

ちゃっかり麦藁帽子を被って・・・いや、頭に乗っけているめぎゅを聊か

恨めしそうに見ながら、後の二人が現れてくれるのをただただ待ち続けていた。

・・その時、救世主は現れた。

「・・・あれ?えーっと・・たしか研究所の方ですよね?」

「・・・何やってんだ?こんなトコにそんなカッコで・・・?」

ブラムとルシフェルが合流したのだ。待ってましたと言わんばかりに、

シュアラム草は見つかったのかと尋ねると共に自分の来たわけを話そうとするが・・・

「・・・・・・・・その方々はいったい・・・?」

二人の後方にずらずらと並んで歩いている縄で繋がれた男たちが目に入ってきたため、

顔には出さないもののフィアルは唖然とした。

「いやぁ、ちょっと賞金稼ぎしちゃって」

おどけて言うブラムに不安を募らせるフィアル。まさかシュアラム草のことを

放っておいたのでは?という最悪の状況が予測もされる・・・。しかし、

「あ、そうだ。シュアラム草。コレでいいんですよね?」

ルシフェルが思わぬ助け舟を出してくれた。

その手から差し出されているものは、紛れもなくシュアラム草。

・・・・・・・・・・・だが、忘れてはいけないのは探すべきなのは特別なシュアラム草なのだ。

ルシフェル達の持ってきたものはどう見ても普通のごくごく普通の、ノーマルなシュアラム草・・・。

「・・・・・・・・・・・・・・・」

「・・・あの・・これではないんでしょうか?」

固まってしまったフィアルに、ルシフェルが恐る恐る尋ねる。しかし、フィアルの答えは・・

「いいえ。コレは紛れもないシュアラム草です。ご協力感謝いたします」

それを聞いて、真っ先に反応したのは妙な言い争いをずっと続けていたリギィとめぎゅ、

そしてユディト。

「さっき普通のじゃダメって言ったじゃんかー!」

「めぎゅは納得いかにゃいにょらー★☆」

「くきゅくきゅ(>_<)」

しかし、フィアルの早く帰りたい精神は強かった。

「構いません。何とかします。帰りましょう」

「ズルイぞ」

「めぎゅはまだ遊び足りぬ〜★☆」

「くきゅいぃ〜〜〜〜〜〜<(`^´)>」

いくら三人(ってゆーか一人と二匹)が抗議を続けようとも強気を保つ。

「大丈夫です」

このパーティの主導権をもっているのであろうルシフェルとブラムに

向かって更に強く主張し続けるフィアル・・・。

「まぁ・・いいんなら俺らとしても・・・ねぇ?」

「それで約束を果たしていただけるなら・・・むしろその方が有難いですしね」

無表情なのにもかかわらず、何処となく必死なフィアルに、ブラムとルシフェルも同意。

ブーイングを続けるいつのまにか息ピッタリの三人(ってゆーか一人と二匹)を完全に無視し、

ヒュバルスター湿原を後にする一行であった。

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