■遭遇、そして・・・■

「きゅぃ・・・・・きゅ〜・・・(;_;)」

シルザシューダの森入り口に着いたルシフェルとブラム、そしてユディトはその森のあまりの陰気さに立ち尽くしていた。

「ちょ〜っと趣味悪いトコだけど・・住めば都なのかな、盗賊団は・・・」

「ユディトも怖がっちゃってますね・・」

ルシフェルは自分の肩にしがみ付いてブルブル震えているユディトを撫でながらブラムに笑いかける。

「どうする?ルシフェル君も怖いなら車の中で待ってていいよ。俺一人でいってくるから」

(・・・また子ども扱い・・・)

銜え煙草のブラムにからかい口調でそんな事を言われ、ルシフェルは思わずムッとしながら答えた。

「平気です。ブラムさんこそ実は結構気味悪がってるんじゃないんですか?」

「ん〜気味は悪いけどねぇ・・・。俺がこの世で怖いのは逆上して何するか分かんない状態の女の子だけだから」

(この人って・・・・)

余裕といった感じの様子でブラムに軽く返され、ルシフェルは何も言い返せずただ先に進むよう促がす事しか出来なかった。

「きゅ〜、きゅ〜、きゅ、きゅきゅ〜(;_;)」

ずんずんと進んでいく二人にユディトは散々抗議の声を上げるがそれが聞き入れてもらえるはずもない・・・。

                   

数十分後・・・。

「ブラムさん・・・なんか・・」

「あぁ・・さっきから俺らを尾行してる奴がいる」

森の大分奥深くに踏み込んでいた2人は少しばかり木々の間隔が広い場所出足を止めた。ここならば十分に動けると考え、

先程からこちらを尾行していると思わしき奴らをここらで挑発しようとしているのだ。

「ブラムさんは武器を持っていないんですから、ここは僕が・・」

ルシフェルはブラムを気遣って言ったつもりだったのだが・・ブラムは未だ余裕の表情を浮かべたまま、新しい煙草に火をつけようとしていた。

「大丈夫、大丈夫。素手でも勝つ自身あるって。これでも結構鍛えてるからね、お兄さんは」

ブラムはルシフェルの髪を撫でながらそんな事を言っている。・・・ウインクなんかもつけながら・・・。

(・・ホントかなぁ・・)

そんなブラムの態度がいまいち不安なルシフェルだった。

「きゅ〜ぅ(>_<)」

「ユディトは隠れてないとダメですよ」

「くぅ(^O^)/」

ユディトにルシフェルの荷物の中に入っているよう促がし、ルシフェルはブラムと背中合わせの形になって相手が出てくるのを待つ。

「お前ら、この森になんのようがあんだ?このダルテ盗賊団の許可なくこの森に足を踏み入れる事は・・万死に値するぜ」

木の上から出てきた、ルシフェル達を尾行していたのは案の定盗賊団の男であった。それも一人ではなく、ボロボロの衣装を身につけた

左肩におそろいの紋章を持つガタイが良くむさ苦しい男たちが五人、ぞろぞろと木の陰からその姿を現す。

(・・予想してたより人数が少ないですね・・さっきまではもっと人の気配がしていたような気がしたんですけど・・)

「どしたの?」

「・・いえ、なんでも」

(気のせいかもしれませんしね・・)

ルシフェルはそう考え、ブラムに自分の感じた嫌な予感を伝える事をしなかった。

「コソコソくっちゃべってんじゃねぇよ!この森に入った代金として身ぐるみ全部置いて行きなっ!!」

盗賊の一人が大型の剣を取り出してルシフェル達に向って構える。それを見てほかの男たちも同じような剣を構え始めた。

(証言どおり・・あれじゃ王宮騎士団が使っているものとなんら変わりない剣・・・・。どうして盗賊があんな物を・・?)

ルシフェルがその疑問について考え込む間も無く、盗賊たちが向ってくる。

「・・・ひゃっ・・・・わっ・・・・・っと・・」

構えも何も適当で形振り構わず剣を振りまわしてくる盗賊たちをルシフェルは紙一重に避けていった。それはブラムの方も

同じらしく、盗賊たちの風の抵抗をモロに受けているような剣捌きに不慣れな様子を見せながらも楽にかわし続けている。

(五人も相手にするんだから銃より魔法の方が手っ取り早いですよね)

「永久と無限の象徴、全ての魔の源。吾汝の力を借りて、今ここに風の神の加護・・・」

「待て」

ルシフェルが詠唱を唱え終る直前、ブラムによってそれは止められた。

「どうしてです?」

一気に盗賊たちを片付ける事がなぜ止められなければならないのか分からず、ルシフェルはその疑惑の意思を

ストレートに言葉にする。それを聞いたブラムは、真剣なルシフェルとは対照的にヘラヘラとしながら答えた。

「この程度の奴ら相手に魔力使うの勿体ないって。俺が片付けるから見てて」

(・・・・・?)

「ゴチャゴチャいってんじゃねーよ」

ルシフェルが訳も分からずに見ていると、ブラムの余裕に腹を立てた様子の盗賊たちが一斉にブラムに斬りかかる。

それでもブラムはそれを避けようともせずに立ち尽くしているだけ・・・。

(・・・危なっ・・!!)

ルシフェルはそう思い、咄嗟に盗賊たちの背に向って銃を構える。・・けれど、向っていった盗賊たちはピクリとも

動かなくなってしまった。

「ただ振り回すんじゃなく、剣ってのはこう使うんだよ?分かったかなぁ、キミタチ?」

そして盗賊たちの輪の中には相も変わらず軽口を叩いているブラムの姿・・。彼は最前列の盗賊の攻撃を受け流しながら

剣を奪い、そしてその剣一本で全員の攻撃を受け止める且つ剣を奪った盗賊の喉元に剣先を当てる・・・この作業を

一瞬のうちにやってのけたのだ。

(すごい・・・。今までの余裕は伊達じゃないって事ですか・・)

銃を構えていたルシフェルはホッとした様子で肩をなでおろした。

「さて、ず〜とこの体勢でいるわけにもいかないし・・・もう諦めれば?俺達はアンタ達の首領さんに用があるんだ。案内してもらえる?」

ブラムが睨みを利かせ、盗賊達の剣を押し戻しながらそう言うとすっかり竦みあがった五人の盗賊はあっさりとブラムの

要求を受け入れる。・・・かのように思われたのだが・・・。

「ブラムさんっ!!後ろに・・」

「・・・っ!?」

突如背後からブラムを斬りつけた存在に、竦み上げていた盗賊達すら驚愕の表情を浮かべている。

「か、頭!!」

盗賊たちの言葉にルシフェルは自分の耳を疑った。

(・・・頭・・?アレが・・!?)

その人物は賞金首リストに載っていたダルテとはまるで違う姿の獰猛な男・・。その風貌は人間というよりも

殆んど化け物である。度重なる傷跡によって人間らしい皮膚を失っているのだ。

「ブラムさん・・大丈夫ですか?」

吹っ飛ばされたブラムに駆け寄ったルシフェルは心配そうに声を掛ける。しかし、幸運にも派手に吹っ飛ばされたように

見えたのはブラムが剣先に当たるのを避けるために自分で後ろに下がったからだった様で、ブラムの左目に付けていた色付きの

片眼鏡が割れただけで彼自身には怪我はなかった。

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