「へぇ・・・いつもココに色んな子たち連れ込んでたって訳だ」 稀がこちらを振り返り、悪戯っぽく言う。 「生徒会長の特権なんでね」 部屋の中から鍵をかけていた光希もふっと微笑み、言葉を返した。 二人のやって来た場所は生徒会室だ。ここの鍵は大抵の場合生徒会長である光希が持っているため 出入りは自由。中から鍵をかけていても会議に没頭して≠ネんて言えば幾らでも誤魔化せる上、教室棟から も職員室からも離れているため滅多に人が通りかからないという素晴らしい条件なのだ。光希が生徒会長に なったのだってこの部屋を私物化したいためだと言っても過言ではない。 「ソファなんて前はなかったのに・・・ベッド代わりにでもしてるわけ? 」 部屋の奥に置いてある革製のソファにぼふっと腰掛け、稀が言う。光希は手前にある長机をポンポンと 叩きながら部屋の奥へと歩みを進めた。 「たまに、な。机や床じゃ背中が痛いから嫌だ≠ネんていうヤツもいるから」 「ふぅ〜〜ん」 稀は頷き、慣れた仕草で足を組む。かけていた眼鏡を外し、それを上着の内ポケットに仕舞った。 「俺は何処でも良いけどね。机や床の方が燃える時もあるんだし」 上目遣いでこちらを見つめる。そうしながらも上着を脱ぎ、簡単に畳んでから自分の隣に置いた。 「自分で脱ぐなよ。脱がす楽しみってのもあるんだからさ」 光希は稀の目の前に付いたところで歩みを止め、釘を刺しながら自分も上着を脱ぐ。稀は悪戯っぽく微笑み、 言葉を返した。 「そっちもね。俺、ネクタイ外す瞬間が一番好きなんだ」 そうしながらゆっくりとこちらに手を差し伸べてくる。甘く誘うような表情付きで。 無論それは計算されつくしたものなのだが・・・。 光希はわざと誘われるように振る舞いつつ、稀の手を取った。 「好きなようにヤろうぜ。その方がいいだろ? お互い」 言いながら白い指先に口付け、指の間に舌を絡める。稀は頷き、妖艶に微笑んだ。 「好きなように、ねぇ・・・。今のうちに主導権握っとかないとヤバいと思うけどなぁ」 挑発するようなその口調。光希は少しばかりムッとしながらも必死に余裕を保ち、握っていた手を離した。 稀の隣に置いてあった上着を掴み取り、手前の机に持っていく。そして再度振り返って言った。 「強気でいられんのも今のうちってな」 真っ直ぐに稀を見据える。稀も鋭い眼差しをこちらに向け、暫し視線だけで語り合った。言った台詞は 互いに同じだ。 絶対に負けない 光希は再度稀に歩み寄り、その隣へと腰を下ろした。
「なんか新鮮」 不意に、稀がクスリと笑う。光希が首を傾げて見せると、少し考えた後でだって≠ニ言葉を紡いだ。 「絶対こんな風になると思わなかった相手じゃん? 子供の頃から見てるようなヤツなのに・・・なんか逆に 新鮮だなぁって気がしてさ」 稀の髪を撫でつつ、光希も確かにそうだ≠ニ頷いた。稀と躰を重ねる・・・・そんなこと、本当に想像すら 出来なかったことだ。いや、想像しようとも思わなかったこと、と言った方が正しいかもしれないが。 「新鮮ついでにキスでもしとく? 」 ふっと微笑み、光希は囁く。艶やかな黒髪に口付け、余裕のある表情を浮かべて見せた。この表情で10人中 9人は堕ちるのだ。まぁ、稀が大人しくその9人に入るとはとても思わないが・・・。 「いいよ。じゃあ、先にそっちからして」 ネクタイを外していた手を首筋に滑らせ、稀は吐息と共に声を発する。厚めの唇を少し開き、悩ましげな表情を 浮かべた。 やはり一筋縄ではいかない。予想通りの強敵っぷりに流石の光希も息を呑む。 そして覚悟したように稀の頬に触れた。擽るように頬骨のラインを親指で撫で、段々と顔を近づけていく。 稀が目を閉じたところで顔の角度を変え、しっとりと唇を塞いだ。 初めは啄ばむように軽く口付ける。感触を確かめるように稀の唇を自らのそれで柔らかく挟んだ。 何度かそれを繰り返し、その後で段々と開かれていく稀の口内に舌を差し入れる。歯の裏側を辿り、喉奥を 擽って稀の中に自分の存在を知らしめた。そしてようやく舌先で掬うようにしながら稀の舌を絡めとる。 「・・・んっ・・ぅ・・・ん、ん・・」 濡れた音を響かせながら何度も角度を変えて行う舌への愛撫に、稀は鼻から抜けるような声を漏らした。 唇を離すと、少しばかり瞳を潤ませた稀が上目遣いで光希を見つめる。挑戦的にふわりと微笑み、光希の 耳に触れた。 「今度は俺の番」 甘い声で囁いて、キスをする。強引に歯列を割り、稀の舌が入り込んできた。息つく間もないほど性急に 舌を絡められ、そしてキツく吸われる。痛みとも快感とも取れるその感覚は全身に染み渡っていくような 心地がした。 光希はキスを単なる前戯だとしか思っていないが、稀はキスをもセックスの一部だと捉えている・・・・そんな 感じだ。 「結構色っぽい表情するんだな」 「アンタこそ」 稀の口元から零れる唾液を指で掬いつつ、光希は呟く。稀は光希の手を取り、すぐに言葉を返してその指先を 口に含んだ。 「・・んっ・・・アンタの指、結構好きかも・・」 何処か淫猥な意味を含ませ稀が言い放つ。とびきり挑発的な眼差しを投げかけて。 光希はもう片方の手で稀のネクタイを外し、ワイシャツのボタンに手をかけた。それを合図にするように 稀も光希の手を離して光希の制服を脱がし始める。 露わになった白い首筋に口付け、光希は意地悪く言った。 「ここに何人の男がマーキングしてきたんだろうな・・・自分のモンだって思い込んで」 そして言葉が終わるなりその箇所に唇を落とす。無論痕が残るようにして。 「アンタこそ、こうやって何人の男にマーキングしてきたわけ? 自分のものにするつもりなんて全然 無いくせに」 稀も光希の鎖骨の辺りに口付け、自分の痕を残した。胸元から腹筋の辺りに手のひらを這わせ、そのままベルト に手をかける。 光希も同じようにして稀のベルトを外し、下着ごとズボンを引き下ろした。 「俺の指でイカせてやるよ」 稀の耳元で囁く。稀は微笑み、上目遣いでこちらを見やった。 「どっちが先にイクかな」 互いの性器を取り出し、挑発し合うような視線を交わす。向き合うような体勢になり、二人はゆっくりと手を 動かし始めた。 「扱きあうなんてまるでガキだな」 笑い飛ばすように光希が言う。稀も頷き、クスクスと笑った。 少し硬度を持っていた程度だった稀の性器は光希が手を動かす度に徐々に角度を増していく。光希自身もまた ただお互いを刺激しあうだけという新鮮なこの状況に興奮を覚え始めていた。 「結構・・・熱くなってきたね」 光希のものを揉むようにしながら稀が言う。 「お前のだって、濡れてきてる」 光希も負けじと言葉を返し、蜜の溢れ始めた先端を擽った。 興奮のためか段々と互いの愛撫が荒くなっていく。無意識のうちに相手と同じようなやり方でお互いのものを 扱いていた。 「・・こう、やって・・根元んトコ弄るのが快いのか? さっきから・・・ずっと俺のにそうしてる」 切れ切れになりながら言葉を紡ぎ、光希は揶揄するように言う。稀は不敵な笑みを浮かべ、光希自身の裏側を 執拗に攻め立てた。 「・・っ・・じゃあ、アンタは・・・ぁ・・・こうされんのがいいの? 」 荒い息をつきながら、段々と表情から余裕が失われて・・・それでも尚二人は勝気な態度を取り続けていた。 コレは勝負。 その考えがどうしても拭えないのだ。確かに感じている快楽にも夢中になることが出来ない。 とはいえ躰は既に限界が近いことを訴えかけているのだが・・。 「・・っ・・」 「・・ぁ・・んっ・・っ・・・」 よぎってくる射精感に、光希は歯を食いしばり稀は懸命に声を抑える。 互いの性器はもはや先走りの欲望でベトベトに濡れていた。握っているのが自分のものだと錯覚してしまう程に 愛撫の手は止まらず、興奮の波に呑まれる。 相手より先に達してしまってはいけない。・・・そう思っているはずなのに、身体は絶頂のみを求めていた。 「・・っ・・やば・・」 「・・ゃ・・っ・・あ、ぁっ・・」 手の中で互いの存在が大きく脈打つ。欲望の証明を相手の手の中に弾けさせた・・・それは二人同時のことだった。 互いに凭れかかり、呼吸を整える。段々と止まっていた思考回路が動き始めても、暫く何も言うことが出来なかった。
|