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YMCCでは、後立山から裏銀座を毎年の連休にトレースする山行が数年前から続いている。一応の完結、と言うことで昨年ブナ立尾根から双六岳の縦走が行われたが、完結を認めず、今年は笠まで行かねばならない、とする意見が出、計画された。
参加者は6名。これに新人が一人、他会員が一人、さらには鹿島天狗尾根から計画変更した3名が加わって11人のパーティが構成された。
リーダーは中川さんだったが、自転車で転けた物語のメールにほだされて川原がやることになった。
9連休になっていない山屋さん達が殺到するであろう夜行列車はイヤだ、と言うメンバー4名はマイカーで2日朝発ち。朝からは無理なメンバー3人が同じくマイカーで夜発ち。残りの4名はゆっくりと晩酌をしながら行くべく、敢えて夜行を選択した。それぞれの選択の結果は如何に。
ちなみに、マイカー夜発の川原車は薫さんを載せ三田発。JR大津駅で内田さんを拾い、名神一宮から東海北陸自動車道に入った。ここは空いていて、前後を走る車は30分ごとに1〜2台現れる程度。荘川まで楽に走り、高山から平湯を経由して新穂高温泉に到着した。以下、所要時間と距離、大体。
新三田21:30
京都南渋滞30分
23:00 大津駅
0:30 一宮
4:00 中尾口(走行距離410km)
マイカーやバスの場合、従来富山から南下していたが、荘川から高山、平湯までの下道も比較的走りやすく、わかりやすく、距離、時間共にこちらの方が少なくてすむことが確認できた。ただ、高山、荘川間の田園地帯で帰りに1回給油したが、競争原理が働かないところらしく、店員が無愛想だったのが唯一の不快であった。
さて、山の話。
05.03.wed.晴れ
「7時にここで先生と待ち合わせだから」
7時まで寝よう、と川原車の3名は中尾口の車中で仮眠を採る。ところが時間になっても先生は来ない。探すと、それらしき車が3台向こうに止めてある。携帯に電話。
「栄田君、先生来んけどなあ」
「もう行ってますよ。朝の2時からゴソゴソしてはったから。車を下に置いて歩いて帰って来なならん、とかゆうてはりました」
「おっかしいな。歩かんでも1台は車を上げるんやから..」
「そうですね」
「ちゃんとゆうてくれたんやろ」
「ちゃんと言いました。なんや、ちょっとようわかりません。歩きたいんでしょう」
「歩きたいんか。よっしゃ、ほんなら歩いてはるんやな。もう20分過ぎてるし。今から上がるわ」
わかりました、と栄田君が電話を切ったときに先生は帰ってきたらしい。
夜行組の中川、奥野、森本、庄司の4人も到着。先発の生信、栄田、山下明美、山下裕子の4人で合計11名が揃ったので食料を分担して歩き出す。
穂高牧場からクリヤの頭が綺麗に見える。大雪の1980年の暮れ、ここまで来るのに丸1日かかったことを思い出す。カツラの大木が見事。秋には愛くるしい丸い葉っぱで綺麗な黄葉を見せてくれる。
白出沢を渡ると道は川床へ降りていく。夏道は上の方だが、雪のトレースは完全に河原に出てしまった。
チビ谷を過ぎる辺りから庄司さんが足の不調を訴える。滝谷出合辺りでの幕営も考えるが、過去、ここで幕営したために気力が萎えて上に行かなかった話も聞いているので先へ行く。
2mはありそうな屋根の積雪に耐えて、槍平山荘は其処に佇んでいた。2kg/1cm/m2とすればおおよそ平方mあたり400kgもの荷重を支えていることになる。きっと、部屋の中じゅうサポートだらけなのだろう。
雪の平原の小屋寄りに10張りほどのテント。それらから離れて、宴会モードでも支障ないような位置へ、パーティは自然と幕営地を求めていく。
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| テントの中での楽しいひととき |
整地、幕営、トイレ構築、だんだん喉の渇きが増してきた。もう我慢できない。リーダー権限でビールをみんなに配り、立ったままで乾杯。山下裕子さん持参の生ハムやタコ生スルメがおいしい。
夕食は庄司さん担当でカツステーキ。ボリュームのある肉11枚、これで足を攣らせてしまったのか。
夜半、彼の足の痛みは引くことはなく、翌日、残念ながら下山することになった。
新穂キャンプ場 08:50 - 穂高牧場 11:15 - 白出沢先 12:40-15:30 槍平cs
05.05.thu.晴れ
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| 飛騨沢の美女と野獣 |
庄司さんと別れて快晴の空の下、飛騨沢を登る。乗越しははるか先だが、道は夏と違ってダイレクトなトレースなので効率がいい。飛騨沢のど真ん中の大岩の辺りで休憩するといつの間にか北側に槍の穂先が覗いていた。
飛騨沢乗越しはパソ・デ・スペリオール・風の通り道。強い風が吹くのでエビの尻尾が発達しやすい。したがって乗越し手前の斜面も風に磨かれてクラストしている。途中からアイゼンをつけて、やっとこさ辿り着いた我々は、そこで見事なそれを目にすることが出来た。
槍ヶ岳山荘前で小休。槍沢は飛騨沢よりも大勢の人が登り降りしている。殺生ヒュッテが眼下に見える。槍の穂先はガスに巻かれたり現れたり。風を避けているので、陽が当たってポカポカと暖かい。ここでビイルでも飲めたら天国だがまだ先が長い。千丈沢乗越しまでのルートも険しい。グッと我慢のしどころだ。
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| 奥野さんとエビの尻尾 |
エビの尻尾拡大 |
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| ガスの中の槍ヶ岳 |
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ここからオーダーを固定して、初心者をベテランの間に挟む。
下降路にかかるといきなり冷たい強風と雪礫に顔をかれる。思わず、先へ進む勇気がくじかれそうになる。しかし、一筋のここへ登ってきたのであろう踏み後に勇気づけられて、それに逆向きの足跡を重ねる。急な斜面。新人や雪山体験の少ない人ならばすくむかもしれない。時には膝を深く曲げ、時には後ろ向きで下る。
千丈沢乗越しまで3回の弱層テストを試み通過。2回目が危険度4弱と出た。迷わず、機械的にザイルを出す。わずかな時間のロスと面倒くささの我慢のみ。きっちり50m延ばしたところで再度テストを行うともはや弱層は消えていた。

千丈乗越しの精鋭
千丈沢乗越しは安定した広場。360゜を堪能することができる。早くも夏羽根に衣替えをしつつある雷鳥が悠然と目の前を歩く。昔から、この時期の雷鳥が最も興味ある姿として脳に記憶されている。白でない、茶色でもない、白がちの羽根衣。
今日は双六小屋までたどり着けない。計画書を見たときからそう思っていた。しかし、そのときはそう言わない。やれば出来る内容でもあった。そして、やはり今日はたどり着けない。素案を作ったS君も言う。
「ちょっと遠いかな、と思ったんですけど..」
それでも延ばしたいのが人の心。岳人の心。余裕を持ってそれを飲み込めるならば、カツカツの山行計画でなければ、いいではないか。
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| 槍を背に進む |
幾つかのなだらなか、あるいは一体どうやって越えるのか(S君の感想)わからないように見えるギャップや斜面を越えて行く。時はやがて17時になろうとする。硫黄尾根が合流するピークの手前の広場に、幕営ができる幾分まともな所がありそうに見えたがそうではない。やはり、硫黄尾根の合流するジャンクションピークを越えて、予定通りその先の広大な平地の幕営好適地まで来てしまった。ここは夏道の縦走の経験から予定できたところ。
大きな熊の足跡がある。足跡のエッヂが溶け、たなごごろの豆跡が溶けている。2〜3日前にとおったのだろうか。その横に2張り分のテントサイトを構築する。10人掛かりだと広大な設営面も城塞のような防風壁もすぐにできあがる。そしてみんなの息も上がる。あまりにもどっしりとした囲いが出来たので、みんなで記念撮影してからテントにはいる。
今夕食は山下裕子さんの豪華食材によるもの。嵩張らないが結構な重量物。魚の干物もある。それを委細かまわずテントの中で焼く。食欲をそそる匂いが充満し、アルコールが喉越しを促す。今日もわずかながらビールがあり幸せだ。
お腹が落ち着いたところで明日の行動を検討する。雪は思ったよりも多く、パーティの足並みには若干難がある。そもそも10名のパーティが粛々とした固まりで素早く動くのは難しい。本日と同じような行程を後2日続けるのは少々きついか!?
「明日はゆっくりと起きて下山としましょう」
夜半に吹いた強い南風は、堅固な城塞越しにテントの頭を揺さぶり去っていった。
槍平 06:20
11:20 槍ヶ岳山荘
16:50 硫黄尾根合流地cs
05.05.fri.晴れ
本日も快晴。広島のメンバーが早くも通りかかる。生信、中川両氏が知る雪崩関係の人を含むメンバーだった。
広い斜面を、膝のクッションを効かせて重力に任せて歩き下るのは気持ちがよい。所々露わになった地肌からハイマツなどのエキスを含んだ初夏の匂いが飛んでくる。この辺りの夏山の光景が目に浮かぶ。振り返ると槍ヶ岳や北鎌尾根、硫黄尾根の偉容。更に左へ目をやると燕、野口五郎、水晶、鷲羽、越中沢岳、祖父、三俣、双六、樅沢、弓折、オオノマ、抜戸、笠、乗鞍、穂高と東鎌尾根。最後に槍の穂先に帰る。風紋(シュカブラ)の美しき先に覗く穂先をレイアウトしてシャッターを切る。そして駄洒麗句、一句。
シュカブラ3題

風紋を
踏まんとするを
不満とす
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| 樅沢岳にて |
樅沢岳の手前の急斜面を山スキーの人が行く。樅沢へ落ちる急斜面。華麗なシュプール。我々が滑ったならばあんなシュプールは描けない。双六岳・三俣蓮華岳は剣から裏銀座へと続くダイヤモンドコースの要であり、日本でも有数のオートルートと言われる。したがって山スキーヤーが多く訪れ、特に双六岳周辺はメッカとなっている。おおむねそのシュプールの刻まれた所とトレースを同じくして弓折岳を目指す。
弓折岳の手前の辺りは雪に覆われて広大な斜面となっており、夏山とは全く違った風情が楽しめる。その一つの丸いピークで槍をバックに写真を撮る。今回、合宿に初めてデジタルカメラを持参したが、非常に重宝する。重量、容積、コスト。しかし電池に関しては全くダメ。すぐに切れてしまう。
これからのデジカメに求められることを一ユーザーとして提言してみよう。
300万画素
煙草の箱程度の大きさ
重量300g
単3電池2本で200枚撮影
アナログ6倍ズーム
デジタルズームは不要
水深5mまでの防水仕様
まあこれぐらいで許してあげよう。実売価格は記録媒体込みで39,800円。日本の技術ならば2年後くらいには可能か。
まあ、今はこれで撮ろう。さあ、一人づつ並んで。あんまり後ろへ行くとその先は雪庇やで。思い思いの格好で各自がポーズをつくる。
| 参加者の面々 |
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| アスリート・明美さん |
若者・生信先生 |
青年・もりもっさん |
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| カメラマン・川原 |
タフギャル・薫さん |
ふんわり・おっくん |
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| ワッハッハ・中川さん |
沈着・栄田君 |
エヘヘ・裕子さん |
弓折岳は二つのピークが寄り添っている所。しかも頂上は低い方となっているからややこしい。オオノマ乗越しからの下降を敬遠して、弓折頂上手前のピークから下ることにする。鏡平方面へ降りるつもりだが右手の斜面に付けられたトレースが心安そうだ。雪崩の心配は無し。
「ビールがあったら..」鏡平に寄る価値があるけど..とO野さん。
美しき美女達は果敢に尻制動を試みるも、進むほどに緩斜面となり、ままならない。そうこうしている内にアッと言うまに夏道に合流する。山中で槍ヶ岳を拝める最後の所。
「ビールが1本、あるんですけど..」
KRさんが突然恐ろしいことをおっしゃる。
「なんちゅうことを..。ハヨ出さんか。下まで持っていったらバチが当たる」
K原さんはKRさんがおもむろに出すのをもどかしく引ったくり、みんなでまわし飲む。
「アッハ〜〜ッ。なんとお美しいKRさん」
飲みながら、N川さんが取って付けた美辞を投げかける。
シシウドヶ原から望む抜戸岳は、その肌にべったりと雪を張り付け輝いている。来年は笠へ登ってからあそこを踏もう。
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| ビューティカルテット |
遠き槍ヶ岳 |
ワサビ平の小屋で小休止。400円のビールで無事を祝う。I先生はここが気に入らないらしく、先を急ぐ。中尾口に留め置いた新車も気になるのだろう。
よっしゃ、ならば行くか。わずかに重量が増したようにザックを感じながら、はや新緑の匂いが立ち込まんとする雪の林道に、わずかにアルコールで温もりだした足を踏み出すのであった。
硫黄尾根合流地cs 07:50
09:40 樅沢岳 10:00
11:00 弓折岳2つ手前ピーク
12:30 夏道合流点
13:20 シシウドヶ原
15:50 ワサビ平
●2000年の春山、思いつくままに
あの時どうやったかな。いつも忘れてしまう昨年のこと。思い出せるように留めておこう。
服装
暖かい連休だった。積雪は多かったが、夜もあまり冷えなかった。オーバーヤッケは使用せず。オーバーズボンは使ったが、雨具のズボンでも良かった。
<以下服装>
化繊の下着上下
内面フリースのズボン
フリースのシャツ
雨具
オーバーズボン
皮靴
LS靴下
手袋
オーバーミトン
バンダナ
一時、目出帽着用
サングラス
像足要
ヘルメットなし
シュラフのインナー不要
行動食
つい多めに買ってしまう。今回もそう。
パン3食は食べず。饅頭4個、大カップゼリー2個食す。
チョコバー、小ゼリー、飴、小チョコOK
ビールレギュラー1ケースぼっか。
ワイン500CC
ウイスキー小瓶
つばつき帽子、日焼け防止に必要。
今回は良く焼けた。男といえども健康のため日焼け止めクリームを塗るなどの対策を講じたい。
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