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フシグロセンノウの花が迎える櫃ヶ山(ひつがせん) 旭川・湯原の足(たる)温泉 眺める富士は櫃ヶ山かな とき: 2003年9月6日〜7日 ところ: 櫃ヶ山(ひつがせん) 参加者: 日野慶三、木下清、中川好治 |
| 東北や北海道は冷夏で稲も実らない凶作と伝えられるが、大阪の夏は猛暑で、9月に入っても相変わらず。昼は熱暑で夜は熱帯夜と、体が休まらない。 日野さんから櫃ヶ山(ひつがせん・湯原富士)へ行こうとお誘いをいただいたので、木下さんと一緒に同行することになった。 6日(土)晴れ 10:00阪急・武庫之荘駅集合のところ、少し早めに到着し、日野さんも早かったので9:50出発。宝塚から中国道へ。1時間で加西SA。スズムシ4匹で350円。日野さんは自宅で飼っていたが、最後は雌がすべての雄を食べてしまったとのこと。しっかり食べて産卵するわけか。2回目の休憩は楢原PA。ここで白い羽毛状の種が飛んでいるので木下さんはタンポポだろうとおっしゃる。落合から米子道に入り久世ICで一般道に降りて勝山へ向かう。 12:30勝山は木の駅、手打ちそば「一心庵」で十割そば(900円)をいただく。北海道産の白いそばで腰のあるしっかりしたものだった。「十割」とは混ぜ物なしのそば粉のみの意味だそうだが、これでよく練り上げることができるものだと感心する。そば湯も美味しい。ここは勝山木材ふれあい会館“木の駅”内にある。となりは木工製品が陳列されており、小さい皿が1,500,000円という高価な作品から廉価な丸太の椅子までいろいろある。 夕食は寄せ鍋、朝はうどんというメニューで食材は駐車場のある「たんぽぽスーパードラッグ」で仕入れる。酒・ビールは「バッカス」という店で買い、もう安心。 勝山は城下町であり、宿場町であり、歴史の町として名高い。何回かここを訪れている日野さんが町並み保存地区を案内していただく。なるほど、その町並みにはどこの家にも「のれん」がかかっている。もちろん、すべてののれんが個性的であり、同じ物はない。 |
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旭川に沿いしばらく走って神庭(かんば)の滝見学へ。この神庭の滝は高さ110m、幅20mと大きく日本の滝百選に入っているらしいが、拝観料ならぬ拝滝料が300円もかかる。貧乏人には苦しいので止めて、川べりの玉だれの滝を拝んで気を休める。この滝は草葺屋根から落ちる雨垂れに似て、滝の名にはふさわしくないが、年中涸れるこ とがないとのことで、なかなかの奇観ではある。 今宵の宿は勝山美しい森キャンプ場。岡山県が進める「美しい森」は県下に10箇所あり、「かけがえのない森林をみんなの手で育てていこう」ということで、人々の憩いと学びの場としてバンガローやテントサイト等が整備されたようだ。 長い林道を走って、星山東登山口にある美しい森へ。炭焼き場を過ぎたあたりで、後の車が前へ進めと合図するので、そのまま進めばビジターセンター。後の車はこの施設の従業員でキャンプ場の管理人さんだった。受付けでテント設営の届をし、使用料1,000円を支払う。1人500円というような北アルプス方式とは異なる。 キャンプ場で設営場所を選択中、例の管理人がやってきて、場所はどこでもよいとおっしゃる。木下さんが炊事場の前の道でもよいかと問えば、それもよし、ならば音楽堂の方がもっといい、との助言を頂き、音楽堂でテント設営ということになる。 舞台に上がってテントを設営し、早速宴会モード。冷たい缶ビールで乾杯。サンマの造りに焼きピーマンでグッド、グッド。寄せ鍋うどんも結構いける。 広島から車2台でやってきたという8人パーティ(男3、女5)はバンガロー泊。三瓶山の予定が雨なのでこちらに回ってきたとのこと。中国山地を舐め尽くして遊んでいらっしゃるお元気なおじいさん、おばあさんたち。(こちらも似たようなものか。) 舞台で星を仰いで寝る。虫の声もたくさん。コオロギの声はかざぐるまの比嘉財定さんのモノマネでよく聞くが、ほんものの声は最近久しぶりだと思う。夜半、すごい満天の星、快晴の明るい夜空に感動。少し寒くなったので、長袖を重ね着して、再び眠る。どこかの若者たちが午前2時ごろまで近くでしゃべる声が、やや耳障りであったが。 7日(日)晴れたり曇ったり 5:00起床。あまり冷え込まなかった。うどんに紅茶。残ったビールはいただいておく。 広島パーティは6:00出発。彼らは星山から櫃ヶ山への縦走。われわれは6:40ごろ出発。今日は櫃ヶ山のピークハント。 さわやかな自然の風が心地よい。一旦、このあたりの展望を確かめるためにビジターセンターの高台へ登り、星山の前山から五輪山、櫃ヶ山を望む。雲が稜線部を流れ、1,000mに満たない山々がいかにも高山の雰囲気をかもし出す。 林道を下り、国道へ。旭川沿いに走って、真賀温泉、足温泉を過ぎて直ぐ、櫃ヶ山登山口がある。ここは久納(くんのう)という集落。国道沿いに数台駐車できるスペースがあり、既に1台が駐車。 7:20登山届のノートに記帳し、スタート。櫃ヶ山はご飯を入れるお櫃(ひつ)に似ているから付けられた名前か。麓から見ればお櫃が3つ並んでいるようでもある。やや離れれば三角錘の富士山の威厳を感じるが、近付けばお櫃。しばらく車も通る坂道を上がり、集落を離れれば山道になる。 |
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突然、先頭を歩く日野さんが「あった!」と叫ぶ。「あった」は「いた」や「おった」とは違う。「いたっ!」となれば、まずマムシが相場。しかし、「あった」はそんなものではないようだ。そこにはさっき全開したばかりのキヌガサタケが白い美しいレースの網スカートを広げていた。普通、6月梅雨時に見られるが、残暑厳しい今ごろに観察できるとは不思議だが、うっとりするほどの美しさに感動である。ここは竹林、キヌガサタケは竹と深い関わりがある。 杉林のなか、峪谷川(さこたにがわ)の小さな流れを越し、登っていけば銀令水(ぎんれいすい)の谷、最後の水場だそうだが、涸れることもあるらしい。ずっと樹林帯の坂道で鬱陶しいが、やがて登りつめたところが尾根の一角、風の通る開放的な地点となる。ここから望む櫃ヶ山は感じのいい草山だが、やや遠そうに思う。 |
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| 尾根道をムッとした草いきれに酔いながら5合目の標識に至る。北や東の展望がすごい。たくさんの花が咲いている。キキョウやカワラナデシコ、ゲンノショウコ、ノアザミ、リンドウ、ツリガネニンジン、キンミズヒキ、その他名前のわからない花々。追い越していく男がいわく「上にはマツムシソウがありますよ」と。 直登すれば尾根道どおしで櫃ヶ山、左2分で銀令水、右15分で天狗の森。滅多にこちらに来ることのない私たちは、ゆっくり散策を楽しみたいので、まずは銀令水へ。わずかのトラバースでそこに至り、銀令水を味わう。岩から湧き出す水のなんと冷たいことか。あたりは33度の熱射でも、この水は地表を流れるわけではないので10度ぐらいか、意外の冷たさに感動。おそらく数10年地下に潜った水が今ここに湧き出しているのだろう。 次は北に回りこむ天狗の森へ散策を試みる。ミズナラや若いブナがあり、比較的新しい植林帯かな、と思っていたら、やがて鬱蒼とした大木のブナが現われ、なるほど、これは散策の値打ちがあると思う。 おっ、強壮剤のツルニンジンが紫褐色の斑のある花を咲かす。これは特有の臭気があり沢登りの途中でよく出会う。この根を掘り薄く輪切りにして醤油をつけて生食すれば効能あらたかとのことであるが、今日は見るだけ。 天狗の森の中心部に小屋があり、中に天狗様が祀られている。清酒の1升ビンが3本お供えしてあり、記念にお下がりを頂き、登山の無事を祈る。小屋のそばに水道もあり、蛇口をひねれば冷たい水が出る。小尾根の向こうにトイレもある。 |
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| この付近の大木はブナの他にカツラやケヤキもある。また、イラクサ、ウワバミソウ(ミズナ)等の山菜も豊富だ。春ならばここで贅沢な滞在ができる。 尾根に出る手前左に天狗の奥社があり、ここにも立ち寄る。高さ10mばかりの岩を背に、社が立ち、左右にスギとブナを従えている。 尾根に出れば再び展望がひらけ、足元は夏の花々で彩られる。これが例のマツムシソウなんだろうか。大きい朱赤色の5弁花で葉は対生、茎の節は太く黒っぽい。この花はこのあたりに多く、しかも目立つ。後に調べればフシグロセンノウというなでしこ科の花であることがわかった。「節黒仙翁」と書き、文字どおり節が黒いところから名付けられた。「仙翁」は京都嵯峨の仙翁寺で、センノウというなでしこ草がこの寺にあったことによるとされる。 やや傾斜の緩いところがお花畑。いろいろ知らない花々がある。ススキも成長し、やがて茎が枯れて白い穂のみ風に揺れるだろう。たくさんの花々の中に大集団を作っている既に花期を終わって種をばらまくのみの白い羽毛の草、木下さんがいわく、 「これが楢原で飛んでいたんや」。なるほど、それはベニバナボロギクの大草原だった。 すぐに丸太の急坂になる。この丸太前面に多分、寄付者であろう氏名が白いプラスチック・プレートに記載され貼り付けられている。これは汚れたり、壊れたりしていて見苦しい。寄付者も多分喜んではいまい。撤去した方がいいと思う。この丸太階段を170段登って、櫃ヶ山頂上10:20。360度の抜群の展望。はるか大山、蒜山も見える。ここから続く五輪山、星山への縦走路もいいですね。 あっ、そうそう、登山者が教えてくれたマツムシソウは今回、見つからなかった。 老夫婦が1組いらっしゃるだけ、静かな山だ。やがて、朝、先行出発された広島パーティもやって見えた。4時間でここまでとは早い。お元気ですね。 では、下山と、しばらく縦走路を西へ下り、比較的新しい刈り込みの坂道を南へ下る。クマザサも1.5m幅に刈ってあれば気持ちよく下れる。やがて沢沿いとなり、安定した道となる。林道を横切り、なお沢沿いに下れば廃村・大庭皿(おおばさら)。貴重な棚田はすべて無用の杉林に代わり、往時を偲ぶに堪えない。そのスギも手入れなどする人もいないのか、荒れ果てている。 男が1人、登ってくる。日野さんが「これから登るのですか」と問えば、「はい、そうです」と答えて、「単独の女に会いませんでしたか」。 「いえ、会っていません」 彼は、やや急ぎ足で登って行った。連れが先行したのか、彼がはぐれたのか。 竜頭(りゅうず)の滝は一見の価値ありとのことで、ちょっと寄ってみる。しかし、10mほどの滝でさしたる見ごたえはなかった。 そこから20分で国道。やれやれ、登山口まで200mほどか、これで一周したことになる。登山ノートに下山報告を記帳。バスが留まっている。バスでこの櫃ヶ山登山に来る人たちもいる。この山も結構有名な山ということか。 1人の女性が主人にはぐれたといって慌てていらっしゃる。木下さんと日野さんが丁寧に対応される。主人は携帯あるが私はない。木下さんは「携帯、貸してあげる」と差し出すが、「番号がわかりません」。困ったことだ。そこで、親戚に電話して携帯の番号を聞くとのことで、木下さん、日野さんがせっせとお世話をなさる。 なんとかうまく分かって、主人との連絡ができた。彼はいま、櫃ヶ山の頂上にいらっしゃって、これからすぐに下山される。奥さんには、決してここから動くな、と日野さんが指示される。 あれ、どっかで見たことのあるおじさんやな、と考えれば、そうや、美しい森の受付けのおじさんとキャンプ場の管理人さん。 「こんなとこに来て、なにしてはりますねん」 「いやあ、昨日バンガローに泊まった広島パーティが下山してくるが、車を手配してくれというもんだ。タクシーは高いので、うちの車で迎えに来てやったんや」と、ビジターセンターの車2台で来られたとのこと。ええっ、世の中には親切な方がいらっしゃるもんや。 さあ、それから汗を流しに足(たる)温泉へ。この温泉は切り傷、皮膚病に効能ありとのことで古くから湯治客が多いという。足(たる)の由来は、元亀年間(1570〜1572)、高田城主佐伯辰重が武士の刀傷を癒すため、湯を樽詰にして送ったところからきたものらしい。足温泉館、入浴料420円と格安。ただし、石鹸は別売り100円。これを見逃したから石鹸なしの入浴になってしまった。湯を上がって冷たいビールをキューッとやりたいのは誰しも思うことだが、この温泉にはない。 しばらく国道を走って、湯原IC入口に入らず、ビールを求めてしばらく走れば道端に酒屋あり、これでやれやれ。 あとは、日野さんには申しわけないが、木下さん、中川ともビールをいただいて帰途につく。 |
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