立ち読み毎日
No・6 不定期刊 
発行者:立飲み毎日のひらひらさん

勝手に、立ち読み毎日を発行しています。・・・・・・無料です。
今回から、日付が入っています。今回テーマは、乞食

ほいと
ニンデ・トンズル・イーヤン・サンピンケン、そして、ホイト・ウマカッタ。
学生時代に先輩の叔母さんから一度だけ聞いた呪文のようなフレーズを、何故か覚えています。
 意味も分からずに口にした長ったらしい言葉を何故か覚えている・・・・誰にでも二つや三つはあります。アブラカダブラ、アビラウンケンソワカ、ナムカラヤーノトラヤーヤ、ビビンチョケンマ、呪文やお経です。ジュゲムジュゲム・ゴコウのスリキレ・・・・、少々長くても覚えています、落語です。アラオンマカヨー・トーコーセー・・・・意味なんかありません、伊勢音頭の囃しです。ジンム・スイゼイ・アンネイ・イトク・・・・戦前生まれの方でしたらご存知でしょう、歴代天皇の名前です。いちおん一音やいちご一語でなく全体をリズムとメロディーとして覚えてしまうからだと思います。うさぎおいしあのやま・・・・歌詞もメロディーもちゃんと覚えています。
ニンデ・・・・の方は満州語で、おまえは1銭の値打ちもない奴だ、という意味のようです。ニンデは中国語の「ニン的」だと思います。(私のワープロではニンを漢字変換してくれません。次のニイもです。仕方がないので半角カタカナで表現します。)ニンは尊敬の二人称ですから「貴方」です。「おまえ」と言う場合は、ニイの筈ですから、ニーデ・トンズル・イーヤン・・・・の聞き間違いかも知れません。イーエンは1円かと思いますが、満州の言葉や通貨の単位のついて殆ど知識がありません。
満州と言うのは侵略者側の勝手な論理で駄目、チャンコロは差別語だった、と感じとられるようですが、言葉だけにこだわるすぎるはどうかと思います。チャンコロは中国人チュンクォレン ですから、言葉そのものには全く差別はないはずです。チョーセンも朝鮮チョソンですから国や民族を誇った言い方の筈なのに、差別的な使われ方をします。侵略した事実を認めないことや差別的に使う奴がいけないのであって、言葉そのものは素敵な響きと歴史の重みを持ってます。(とんでもない方向に話しが行ってしまいました。)

ホイト・ウマカッタの方は東北弁と関西弁の違いによる笑い話でした。その筈なんですが、どうもはっきり思い出せません。丹波篠山出身の先輩の叔母さんが転んだお手伝いさんに、○○さんベッチョナイ?(別状無いか)と言ったら、広島生まれのお手伝いさんが恥ずかしがった話(中国地方では、ベッチョは女性の性器)や、テーブルを動かす為に、ちょっとカイテと言ったら、東北出身のお手伝いさんには意味が分からず頭を掻いた話(関西弁のカクは協力して持って運ぶの意味で、横山やすしがタクシー運転手にどなった、こらぁ駕篭掻きィ、のカクです)に続いていましたから、方言の笑い話であったことは間違いありません。多分、ホント・ウマカッタ(本当に旨かった)という関西弁が東北育ちのお手伝いさんには、ホイト・ウマカッタ(乞食が馬を買った)に聞こえたという話だったと思います。乞食が馬を買う(又は馬を飼う)なんてそんな馬鹿な、という意味でホイト・ウマカッタが日常的に使われているかどうか、長野県より北には行ったことのない私には分かりません。ホイトは、乞ふ人・コフヒトがコヒト、ホヒト・ホイトに変化したのではと、方言学者でも無いのに、私は一応推測しますが、他の国から訪れた人をもてなす客人(マレビト・マロウド)の風習を意味する別の言葉のような気もします。
カンジン
おどま カンジン カンジン あン 人達ヤ 良カ 衆・・・・五木の子守唄です、だいたい誰でも知ってます。
 良カ 子ぢゃ 眠れ 眠らんと 打ッ 棄ッ ど あの山ア 越ォ えて カンジン が 来ッ ど・・・・都城子守唄の歌詞です、加藤登紀子が歌ってます。
子守唄には、カンジンが登場します。カンジンは乞食です。寺の建立や仏像造りのため、寄進を求めて諸国をまわったことが勧進だと思います。ですから、勧進坊主は、尊いお坊さんという意味だったでしょう。勧進の旅に疲れたお坊さんもいたでしょうし、それを真似て一宿一飯を目論だ放浪者もいたことでしょう。偉い坊様も、食べ物にありつく為に坊様をかたったコスカライ奴も、汚れ破れた衣服で村々を歩き訪れたと思います。カンジンは、偉い人でもあり、子供が恐がる者でもあったのだと思います。
早ヨ 寝ろ 泣かんで オロロンバイ・・・・、島原地方の子守唄です。健さん・高倉健は、オロロン・オロロン・オロロンバイ、と続けます。寅さんの妹のさくらで下町の太陽でもある倍賞知恵子さんが歌う時は、鬼ン 池ノ しょうすけドン が 連れン 来らるバイ と続けます。
私の故郷の村にサクさんという人がいました。ボロボロの汚い服で村を徘徊してました。仕事が無かったのでなく、多分したくなかったからだと思います。私が駄々をこねると母は、サクさんに連れてってもらう、とおどしました。昔は、どの村にも一風変わった人が必ず一人は居て、それでもちゃんと村の一人として扱われていたように思います。

ルンペン・ホームレス
コキリコの お竹は 七寸五分ぢゃ・・・・、コキリコの唄という富山民謡です。コキリコは削った竹で、2枚ずつ両手に持って打ち鳴らしますから一種の楽器です。
中世の歌謡集「閑吟集」に、「面白の花の都や、筆で書くとも及ばじ、東には祇園・清水、・・・・、ふくら雀は竹に揉まるる、・・・・、小切子は放下に揉まるる、小切子の二つの竹の世々を重ねて打ち納めたる御代かな」とあります。世ヨ は節ヨ の駄ジャレをですから、「君が世」とよく似た構成の小歌です。(君が世の出典は新古今和歌集だったと思いますが、室町時代の小歌集かなんかで読んだような気もします。遊女が客に、お前様の命が長くありますようにとお世辞をいった歌だと、読んだ気がするのですが、その小歌集がどれだったか、さっぱり分かりません。)
放下はホウカと読み放浪僧という意味だそうです。(ホウゲルのホウゲではないかと私は邪推します。)その辺の薮で切った竹を打ち鳴らしながら好き勝手な歌を歌い、お布施をもらって次の村にゆく、そんな旅芸人が私のイメージです。
小学校の修学旅行で大阪に来ました。今では若者のナンパで有名なミナミのあの橋で、叔母に犬のオモチャを買って貰いました。ゼンマイを巻けば、ピョンピョン跳ねるやつです。「カズちゃん、大人になってもルンペンになったらあかんよ。」叔母が言いました。(カズちゃんとは私のことです。)何人かの浮浪者が橋の上に座っていました。私は大学に8年もいて親から見たら行方不明状態の時もありましたが、今のところルンペンにはなってません。でも放浪へのあこがれはずっとあります。放浪へのあこがれを私に植え付けたのは、おばやん、あんたがさとしたせいですよ。(熊野や紀州では、おばさんを、おばやん、と言います。)
子供たちがホームレスをエアガンで撃ったとか、寄ってたかって殴り倒して大怪我をさせたとか、新聞に報道されます。ホイトやカンジン、コジキやルンペンの偉さと恐さを親が教えないからアカンのや・・・・疑似放浪のために山に登り酒を呑んでは頭の中が徘徊してしまう私は叫んでしまいます。(本日は、これでおしまい。)

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