僕 ら の 遊 山 遊 谷

北アルプス黒部
My Favorite Valleys
 朽ち果てた古き納屋の脇に流れる小さな川を遡ると突然大きな滝が出た。谷は両岸50m以上の絶壁に囲まれている。有り得ない光景である。暑い日差しに汗する真夏のとある日、何気ない河原を僅か50m進んで引き返した。遡行距離50mの敗北。持っていたロープより短い距離に笑うしかなかった。その数年後、クラガリ目前で豪雨に遭い身も心も打ち砕かれた。雨はそのまま大洪水になり魚止滝が埋まった。もう二度と来るまいと誓うが、やはり来てしまった。しかし、洪水により谷は渓流ではなく川になっていた。緑の地割れでは遡行距離30mにして敗退。10mで引き返した谷もあった。それから0mも・・・。ネズミ返し対岸への横断に失敗し、ダムまで流された。その距離500メートル。その最奥は人跡無い秘境地だった。川上さんが連打という錆刃に望みを託しアブミを掛ける。水勢弱る秋に再訪しようとまた背を向ける。もうすぐ日が暮れる。急ぐ余り、赤杓子の滝に滑って落ちた。尾沼で生簀を持ち歩いていると地元の山人に笑われた。
 黒部渓谷は古来「八百八谷」と称され伝えられてきた。これは江戸が「江戸八百八町」と言われたのと同じように「数が多い」という意味と「奥深い」という両方の意味を含んだ言葉であった。しかし、全国には同じように「八百八谷」と言われる渓谷がたくさん存在していた。それが気に入らなかったのか現代になり「八千八谷」と大げさな表現にすり変えられたのである。言いだしっぺはおそらく県の関係者か電力関係者ではないだろうか。史書には八百八谷はあれども「八千八谷」と書かれたものは見当たらない。黒部が「八千八谷」と言われたのは知る限りつい最近のことである。


秋の黒部

谷をツメるとそこはもう白銀の世界



白麗の黒部

薬師沢

これぞ黒部の優美(Y)


上ノ廊下

黒部には、ビンガとガビンがある。ガチョーンも多い。(Y)


下ノ廊下



我々は、日電歩道に感謝しなければならない
道が無ければこの大渓谷から逃れるすべは無い



別山から派生する谷々

水はほとんど無いが雄大に尽きる


新越沢



祖母谷

豪快無比、開豁に満ち溢れた異色の黒部


祖父谷

西不帰谷の滝場は明るい


暗黒の黒部

剱 沢

I 滝


棒小屋沢

黒部を代表する暗黒の大廊下


サンナビキ谷


そこには忘れられた黒部があった


弥太蔵谷

下部廊下 宇奈月温泉対岸に驚愕のV字渓が展開


嘉々堂谷

第一関門の大滝下流


尾沼谷

宇奈月温泉横に絶叫の連瀑が眠る


柳又谷

上部廊下 圧倒的白泡と水圧に成す術なし


北又谷

下部廊下 支谷が恵振谷、漏斗谷とは笑うに笑えない


そして、幻の大滝へ・・・


 北アルプスといっても、黒部だけではありません。その山魂から派生する谷々は、どれ一つ見逃しても惜しいと絶言できます。しかし、人気のある渓谷は一部に偏りそれ以外の渓谷は、地元でさえ見向きもされない。私たちは余りにも勿体無い事をしているのです。雄大、豪快、幽邃、優美、壮観、神秘、碧水、峻高壮麗、明媚快闊、海内無比・・・北アルプスには、その全てがあるのだと冠松次郎は幾筆にて伝えられています。その感動をあなたならどのような言葉で表現できますか。分らなければ是非、自身の目でお確かめください。(D)

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