危ない体験談 −6−
 
 

 今思えば、そもそも計画が楽観的でいい加減だった。
具体的にいえば、自らに課すべき通過地点のタイム設定は無いに等しく、予備時間ですら見積もっていなかったのだ。
 
 陽が落ちるのが急速に早くなってきた10月半ばのこと、僕と友人Dは紅葉狩りというかキノコ狩りというか、ともかく秋の山を満喫していた。 尾根を登っていき、標高2000m付近から沢床へと下り戻ってくるというコース。その上半部は初めて歩くルートでした。 この沢下流部の景勝地点まで降りて来たとき、日暮れが迫ってきているという意識はありましたが気持ちに切迫感は無く、急ぎながらも写真撮影やキノコ観察しながら歩いていました。 

斜陽に照らされ鏡のように光るエンテイ状岩壁
  残り時間が少ないので僕等は次の景勝地を諦め、朝に通過した尾根へと出るルートをとりました。 急な斜面を樹に掴まりながら登っていき、判然としない尾根筋に出た頃には辺りはすでに薄暗くなってきていた。 尾根筋がナイフの刃のように狭くなったなと思えば、のっぺりと広がったりもするこのルートを正確に降りていくのは昼間でも難しい。 ヘッドライトの明かりはあるにしても周辺の景色無くしてここを歩くのはさらに難度を増すことは容易に推測できた。  事実、昨年には尾根筋から外れてしまい本流側斜面を降りてしまった経緯があったので、今回は気をつけてルートを支流側寄りにとっていた。
 左手直下に本流の河原が白く光って見えるが、これに気をとられていると派生するなだらかなニセ尾根へとすぐに入り込む。気付いて右手の支流側へと軌道修正するがここで正しい尾根筋を見失い迷っていったのだろう。
 メガネを外された横山やすしのような歩き方で尾根の頂稜線を探したどる僕のうしろから、「帰ったらどこで飲みましょうか?」と帰宅後の打ち上げ計画に余念が無い寸又さんであったが、今思えばこの時すでに、いやいやそれどころじゃない雰囲気が漂いはじめていた。
 
 尾根筋を外れて元の支流沢へと降りていく。
 焦るうちにやがて陽は完全に落ち、暗闇のなかでの安全確保のため互いの身体をザイルで連結して歩いたが、そのことが安易な懸垂下降を選択する一因になっていたのかも知れない。
 
 ザイル二つ折りでの懸垂下降4ピッチ目だったか、さらに状況は悪化した・・・
 
つづく
 
  [みっちゃん]
 

【教訓】■タイムスケジュールをたて行動 ■日帰りでも予備時間を2時間以上確保 ■暗闇ではゆっくり慎重に尾根筋を正確に辿る
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