ぎやまん
思い出を封じ込めたるギヤマンは記憶の森で不意に輝く
忘れたといわねばなわぬ思い出は春がくるたびざわめくのです
花祭り=仏の生誕記念日も国が違えば異なるという
暖房の列車座席に及びしを驚かれおり南の人に
お互いに母国語ではない英語にて語り合うなり展示方法
母国語をところどころに交ぜながらそれでも議論が噛み合う不思議はつなつのどこかやましい夕まぐれ返事をせずに捨てるメールも足首に猫は首おきまた眠る猫の頭も少し重たい
木の芽時不意に何かをあきらめる私一人を置いて万緑
大国を出てスロベニアこの夏に独立十周年を迎える
約束はどれも寂しく響くけれどドラゴン橋でまた会いましょう
これということはなけれどあの人は時折風の手紙をくれる
何気ない街ツェレに惹かれ行く 君の家族と君住む故に
家壁を飾る葡萄の実が成れば また深酒をいたしましょうか
置き去りにせむと思いし夕まぐれ君が優しいふりをするので
気が抜けたようにやさしい若者はさわやかだけどひどく危うい
外つ国の人がわたしを呼んでいる月光浴びて震える電話
ここに来ていつかわたしに聞かせてよ昔語りをきみの言葉で
朝一に行けば貸し切り映画館一人泣きたい時に行く場所
木々はいま油絵調に色づいて永久の命が欲しいかと問う