1月
身にしみる静けさそして明るさに冬の夕陽は特に寂しい
断りの例文増えてこの頃はふわふわ飛んで行きたい気分
2月
波の上にもう春は来てああ今日も沖の向こうに白帆が見える
トマト焼く刹那揺れたる精神を叱咤するようにチーズを散らす
3月
今年また行かずに思うお水取り火焔ゆらめき春呼ぶ様を
忘れたといわねばならぬ思い出は春がくるたびざわめくのです悪いこと思えばそれもきりなくて 眩しいまでに柳の緑
4月
花祭り=仏の生誕記念日も国が違えば異なるという
暖房の列車座席に及びしを驚かれおり南の人に
5月
木の芽時何かを不意にあきらめる私一人を置いて万緑
忘れたといわねばなわぬ思い出は春がくるたびざわめくのです
思い出を封じ込めたるギヤマンは記憶の森で不意に輝く
呼び出しを「世界の車窓から」にして 携帯電話鳴っても出ない
6月
これということはなけれどあの人は時折風の手紙をくれる
朝一に行けば貸し切りとなる映画館一人泣きたい時に行く場所
外つ国の人がわたしを呼んでいる月光浴びて震える電話
気が抜けたようにやさしい若者はさわやかだけどひどく危うい