滋賀県



豊郷小学校

設計:ウィリアム・メレル・ヴォーリズ/ヴォーリズ建築事務所
所在地:
滋賀県犬上郡豊郷町石畑
用途:
学校
竣工:1937年(昭和12年)5月
構造:鉄筋コンクリート造
規模:地上3階


撮影カメラ:
デジタルカメラ(334万画素)
SONY(DSC-P1)

HP作成日:2002年2月18日
更新@:2002年11月12日(概要修正)


豊郷小学校は安土と彦根の中ほどに位置する、昔ながらの家並みが残る静かな環境にあります。
近年建替え計画の話が進み、それに対して地域や卒業生らの保存運動が沸き起こり、ニュースや新聞でもたびたび取り上げられています。



 

設計はウィリアム・メレル・ヴォーリズ、施工は竹中工務店、1937年(昭和12年)竣工、当時としては珍しい鉄筋コンクリート造の校舎です。
本館は長さ104mの長大建築、中央部に玄関を設けたもので、ファサードは至ってシンプル。
(写真上段左)本館正面。 ロータリー状のアプローチと車寄せが設けられています。 ロータリー内側は噴水と植栽が施されています。
(写真上段右)本館南東面、運動場側からの様子。 プールのほか、当時テニス、バレーボール、バスケットボールといったコートが備わり、かなりの充実ぶりだったようです。 それらは現在菜園場や飼育小屋などになっていました。
(写真下段左)本館、正面玄関。 左手には木製下足箱、その上に中江藤樹氏の銅像があります。 右手には別室の小さな下足室があります。
(写真下段中央)1階廊下。 幅2.7mと、ゆったり確保されています。 床はナラ材。 その為鉄筋コンクリート造ですがどこか温かみが感じられます。 本館の窓は現在アルミですが、当時はスチール製でした。 図書館と講堂は当時のままスチール製です。
(写真下段右)本館妻側の通学用玄関、下足コーナー。 竣工当初はもっと広々としていたようですが、便所を設けたために今の規模になりました。




「階段」
階段手摺に見られる真鍮製のウサギとカメ。 最上階まで競争です♪
(写真左)踊場のところで油断をして昼寝のウサギ。
(写真中央)ウサギが昼寝の間にひょいひょい追い抜いて行くカメ。
(写真右)ゴ〜〜〜ル♪ 昼寝をしているウサギを最上階で見下ろすカメ。



 

(写真上段左)教室内部の様子。
(写真上段右)廊下の様子。 教室の扉は引戸ではなく、片開きです。 握玉など建具金物類は当時のもののようでした。
(写真下段左)教室〜廊下に設けられた窓。 3段、木枠スリガラスの突出し窓です。
(写真下段中央)数多く配された収納棚。
(写真下段右)窓際の腰下に設けられたスペース。 当時スチーム暖房が取付けられていました。 この他内線電話もあったようで、この時代としては先端を行く充実ぶり。





(写真左)貴賓室。
(写真中央)音楽室、3階に配されています。 ちょっとした舞台付。
(写真右)旧図書室。




「講堂」
講堂は敷地の南西側にあり、本館とは渡り廊下でつながっています。
(写真左)講堂のエントランス。
(写真中央)ちょうど舞台の裏側に見られる煙突。 地下にボイラー室があり、暖房設備が完備されていました。
(写真右)本館と講堂をつなぐ渡り廊下。




 

(写真上段)講堂内部の様子、天井が高く明るいゆったりとした空間です。 座席は約600席。 床はナラ材、座席部分は緩やかに傾斜しています。 小学校の講堂としては実に立派なもの!
(写真下段左)講堂に残されている当時の折りたたみ椅子。 木製のフレームやスチール金物が味わい深い。
(写真下段中央)講堂の両側に配された、当時のままの縦長スチール製手動開閉窓。
(写真下段右)2階客席の様子。 木製の座席が段状に並び、そして正面には木製手摺が取付けてあります。



 
「図書館」
図書館は敷地北西側にあり、本館とは渡り廊下でつながっています。
天井が高く、2層吹抜のゆったりとした空間で、見上げるとアール・デコ調を感じさせる、装飾を凝らした手摺が見られます。





1階正面はホールになっており、受付カウンターが置かれています。
2階スペース(特別閲覧室?)は北側、南側の2ヶ所あり、北側は螺旋階段となっています。
小学校の図書館としては当時例の無い、かなり立派なものだったと思われます。




(写真左)図書館エントランス。 握玉や鍵穴など当時からのものだと思われます。
(写真中央)本館と図書館をつなぐ渡り廊下。 スチール製ハンガーレールの付いた両引きの扉が見られます。
(写真右)図書館のエントランスホール。

ファサードはのっぺりとした、正直言って心動かされるものでもありませんが、内部の充実ぶりは、講堂と図書館の現代でも劣らない質の高さ、各所にちりばめられた記憶に残るようなポイントなどなど、面白く、魅力あるものです。 そこには設計者ヴォーリズの教育に対する思い、こだわりが伝わってくるようです。
日本人はとかく古くなれば壊し新しいものを、という考えに至りがちですが、構造体に支障が無ければリニューアルも選択肢のひとつとして検証してみてもいいのではないでしょうか? 例えば内部はヴォーリズの主旨を汲んでなるべく当時のままに修復、外部は今後メンテナンスが簡単になるような素材を採用するなど、何か工夫を凝らし、新たにデザインしてみるのも面白いでしょう。 なるべくお金をかけない方向とし、60年前は鉄筋コンクリート造校舎の先駆けとして誕生したように、今度はリニューアル文化を根ざす先駆けとなって生まれ変わるのもいいかもしれません。


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